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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第53回「二瓶正也の死とジャミラの思い出」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

俳優・二瓶正也死去(8月21日。享年80)のニュースは、千葉真一死去(8月19日。82)のニュースに比べれば100分の1以下くらいの扱いで気づかなかった人も多かっただろう。というか、「二瓶正也って誰?」って反応が普通だろうな。
しかし『ウルトラマン』(初代)をずっと観てた人なら絶対に忘れられないのが、怪獣ジャミラが登場した『故郷は地球』における怒りと涙の大熱演だよ。
二瓶正也(1940年生)は、『ウルトラマン』の科学特捜隊のメンバー・イデ隊員で、毒蝮三太夫が扮したアラシ隊員の相棒的存在。ドジが多いひょうきんなキャラクターで親しみが持てた。ところが、この回に限ってはいつものイデ隊員とは違ってたのだ。
ジャミラというのは某国の宇宙開発計画の失敗で怪獣となってしまった元宇宙飛行士だった。地球への復讐で破壊を繰り返したため科特隊が出動し、最後はウルトラマンが退治するのだが、皆、ジャミラがただの怪獣でないことを知っているので、いつものドラマとは雰囲気が違う。特にイデ隊員の苦しみと葛藤のシーンは、いつものひょうきんな姿を見慣れているだけに切実だった。
ジャミラが死んだ後、「人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂ここに眠る」という贖罪を込めた碑が建てられるのだが、ラストでイデ隊員は、「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど」と吐き捨てる。
『ウルトラマン』では怪獣の存在を通しての社会批判を打ち出したドラマが何本かあったが、そのなかでも『故郷は地球』は痛烈であった。ずっとあとになって、演出が、実相寺昭雄だったと聞いて、やっぱりそうかと納得した。実相寺昭雄監督は、ATGで『無常』とか『曼荼羅』といった前衛的な作品を手がけ、テレビの『怪奇大作戦』(1968年 これも円谷プロ)でも、斬新な作品を作っていた。ウルトラマンVS怪獣だからといって、お子様ランチにしなかったわけさ。

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