本紙では6月24日に第一弾記事を報じた。その続報だ。
改めて簡単に述べると、この疑惑の未公開株販売会社は東京都千代田区に本社を置く「メタモ株式会社」(佐藤由太代表=冒頭写真)。
実際に未公開株の営業活動をしたのは、長崎県西海市でS社を経営する越田氏。病院関係者I氏の誘いに乗ってのこと。営業活動を開始したのは昨年9月のことだった。
「メタモは来年に上場を予定している。上場すれば100倍近く値上がりする」(I氏)が謳い文句。そして越田氏は今年4月初めごろまでに計約1300名から総額実に約9億円(メタモの子会社・メタモテクノロジー=以下メタモTとする=の株式も含む。第一弾記事参照)を集めたのだった。
ところが、今年4月に入ってメタモ側は越田氏の販売行為に「不法な株式の取引き」(後述)があったと、メタモの株主しか閲覧できないHP上のIRで、再三に渡って越田氏を糾弾。挙句、この越田氏の不法行為のお陰で上場予定などが遅延してしまったと釈明する始末。
さて、その後の取材で、メタモの複数の“不都合な事実”が浮び上がって来た。
その一つは佐藤社長、破産歴がある事実。
それも、同じくIT系企業で、かなりの資金を集めた挙句のことだ。
「クーロン」(東京都港区)がその会社。ウェブメディアの運営、自社開発したコメント管理サービスの販売などをしていた。11年5月、佐藤氏が設立。だが、16年に販売していたシステムに不具合が起こるなどし18年5月、破産開始決定に。
「約40億円ほど資金を集めていた。手口は同じような内容だ」(関係者)
また、メタモは17年3月に設立されたが、その年の8月から9月にかけ同社は仮想通貨(暗号資産)を使ったICO(イニシャル・コイン・オファリンフ)を行った。わが国企業によるICOの第一号案件。メタモは少なくとも数億円は集まるとの目論みだったが、結果はわずか約3万ドル(約300万円)。このICOでは100億円超資金集めするケースもあるなか、メタモはPR不足もあったのかも知れないが、投資家に魅力ある事業とは映らなかったためだろう。
なお、読者のなかには「会社を破産させて再び社長になれるのか?」と思われる方もいるかも知れないがそれは誤解。こうした考えが出るのは、会社に個人で連帯保証しているケース。だが、05年に旧商法が「会社法」に変わったことで、自己破産=会社の代表や取締役の欠格事由ではなくなっているので、佐藤氏がメタモの代表になっているのは何ら問題ない。
ところで、そのメタモが指摘する越田氏の「不法な株式の取引き」とは何なのか?