本紙では12年8月、「あの仕手筋ダミーで話題になった人物が、警視庁お墨付き企業乗っ取り?」というタイトル記事を報じている。
その際はP社に止めていたが、14年3月、「警察御用達の公益法人を欲しがる首相経験者」というタイトル記事を紹介した際に実名を明かしているように、それは「ポータ工業」(東京都江東区。冒頭写真はこの自社ビル)のことだった。
このポータ工業、売上高は当時は10数億円、ここ数年は5億円ほどながら、主に防犯・警備・交通関連基材の製造・販売及びレンタルを行っており、具体的にはポータライト(充電式携帯型投光器)を中心に、車両阻止トライアングル、ハロゲン投光器、検閲停止灯、警察用の各種交通安全機材(停止棒、停止旗、カラーコーン、合図灯、LEDチョッキなど)、エアージャッキ、防弾チョッキ、耐刃衣、刺又、防弾盾、さらにはゲート式金属探知機、X線手荷物検査装置、液体検査装置などもスポットでレンタルしている。
得意先は警視庁や全国の警察関係を主力に防衛省、消防庁など官公庁がほとんど。
何しろ大規模イベント開催時には、警備を合わせて包括的に受注するケースもあり、具体的実績としてはワールドカップサッカー大会、国体、九州沖縄サミット、伊勢志摩サミット、皇族の視察時の警備などもあるという。
同社は1978年に後藤恒男氏が設立。
2012年には警察と密接な関係を構築して公益財団法人「日本防犯安全振興財団」が同社と同住所に設立され、後藤氏が理事長に就任してもいた。
だが、現在、後藤氏は87歳。認知症もあるとされるなか、後藤氏は昨年5月にポータ工業の取締役の資格喪失、代表は退任。すでに本紙が一報を報じた12年時から、この警察に太いパイプを持ち、また業績好調で資産もそれなりに持つ同社は狙われていたが、現在は少なくとも外形的には完全に事件屋の手に落ちてしまっているようなのだ。
当局はなぜそんなことを見過ごしているのかとも思うが、その乗っ取りの経緯や手口をレポートする。