2020年7月24日から開催される東京五輪まで2年を切った。
7月17、18日には報道陣にメーンスタジアムとなる新国立競技場や4つの競技会場、選手村の建設現場が公開され、工事は順調に進んでいると報じさせお祭ムードを盛り上げている。
工期や費用などの問題から当初のザハ案が白紙になり、建設着工が大幅に遅れた新国立競技場建設(冒頭写真)も来年11月には完成予定だという。
しかし、本当にすべて順調なのか?
実は一部関係者の間で懸念されているのが陸上競技のサブトラック問題だ。
50M走など大半の陸上競技は,新国立競技場に設置される8レーンの400Mトラックを使って行われるが、国際記録として承認される世界選挙権などと同様、使用競技場から徒歩圏内に、まったく同じ8レーンの400Mトラック設置が義務づけられている。選手のウォーミングアップのための場所として必要だからだ。
当初、このサブトラックは明治神宮外苑の神宮第二球場に作るという案もあったが、なぜか立ち消え、昨年7月ごろ、同じ神宮外苑の軟式野球場に決まった。しかも、こちらは“常設”ではなく“仮設”となった。
昨年9月末、新国立競技場は東京五輪開催後、サッカーなどの「球技専用」とすることが決まったが、これは軟式野球場のサブトラックが“仮設”となったことが大きい。
明治神宮が“常設”を認めなかったのは、15年4月、東京都は新国立競技場の建築主である「日本スポーツ振興センター」(JSC)、明治神宮などの地権者と、「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」を締結しながら、以来、3年近くまともな話し合いをしなかったことに激怒した結果ともいわれる。
そもそも新国立競技場内にサブトラックを作ればいいと思うのだが、旧競技場より収容人数を拡大した結果、敷地不足になったからだ。
当初、19年のラグビーワールドカップを新競技場で開催したいという思惑があり、そのために収容人数を拡大。もっとも、ザハ案の白紙撤回で完成が遅れ、ラグビーワールドカップを新国立競技場でやることは不可能になった。その意向は、森喜朗元首相(東京五輪組織委員会会長で日本ラグビーフットボール協会名誉会長)のごり押しだったとの見方もある。