2018年度の厚労省データによれば、同年度の結婚58万6481件に対し離婚は20万8333件で、離婚率は実に約36%にもなるという。つまり、わが国において、3組に1組の夫婦が離婚しているわけだ。
夫婦の当事者同士はそれでもいいのかも知れないが、未成年の子どもがいた場合、子どもはたまったものではない。大抵の場合、子どもにすれば両親は仲良くして欲しかったわけで、夫婦どちらかといわれてもなかなか選べるものではない。両親にしたって、子どものことは愛しており、どちらも引き取りを希望するケースも少なくない。親権をどちらが取るかは子どもはむろん、夫婦にとっても究極、地獄の選択ともいえる。
その選択は「協議離婚」と共に夫婦が話し合って決めるのが全体の約9割。だが、裁判所が決める場合も約1割あり少なくないが、おかしな決定が実に多い。
また、例え親権者になれなくても「面会交流権」があると思われるかも知れないが、実は直接会えないケースも少なくない。
この面会交流権、親子である以上、互いに会いたいと思うのは子どもだって同様だが、何の罪もない子どもが親権者になれなかった方の親との面会を強く望んでいるのに認められないケースも少なくない。
縁あって、離婚後も子どもが両親から愛してもらえる社会を実現できるよう法改正を目指して運動している「桜の会」の協力も得られることになったので、この親権問題につき、今後、適時レポートしていきたい。
まずは、「面会交流権」に関して理不尽と思えるケースから紹介していきたい。
第1回目の今回は、まだ小学生の息子(9歳)が、親権者になれなかった父親との面会を強く望みながらできない石橋親子のケースから。
父・石橋巧 52歳
大分県生まれ。鹿児島県育ち
鹿児島大学卒業後、生まれ故郷の大分県庁に就職するも1年で退職。自分の夢である料理職人の道へ……。
00年11月、あて逃げ事故により妻と娘2人を亡くす。
09年再婚し、11年に長男が産まれる。
妻・涼子は34歳。死亡事故から数年後、義母に再婚を勧められ、鹿児島時代に面識があった関係で見合いし再婚。
ところが、歳の差もあってか、妻の浮気が発覚。13年に離婚を考えるも息子のことを考え見直す。だが、16年に2度目の浮気が発覚。この際、妻が息子の1度目の連れ去りをするも約半年後に戻る。しかし18年に3度目の浮気発覚に至り、妻は再度の息子連れ去りを。そこで石橋氏は同年12月、「面会交流」調停を申し立てた。