■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は16553円と、先週比-878円安(前稿比▲3318⇒ ▲393円→ ▲2245→ ▲301→ ▲140→ +623→ ▲622)。
ただ、日経平均CFDは夜間取引で17,192円と、NYダウCFDが-1061ドル安だったにもかかわらず+639円高で戻ってきている。これは円安パワーもあったことだろうが、相場立ち直りの兆しと受け止めたい
また、NYダウは、週間で-4012ドル(※▲2679⇒ +456⇒ ▲3583)の超特大大幅安だった。
本日は、相場見通しをする前に1つ申し上げておきたいことがある。株式投資で資産を築こうとする過程で、信用取引を駆使する読者諸兄は多いものと思われる。信用取引は、基本的に3.3倍程度のレバレッジを掛けられるが、こうしたレバレッジが高い取引になっている方は、「購入した株式が買い値から〇%下がった時点で、何があっても損切りする!」というマイルールを決めないとダメだ。信用取引は悪魔の取引であり、相場が堅調な時は高パフォーマンスが期待できるが、仮にレバレッジ3倍で全力買いをしていた時に株価が3割下がってしまったらそれだけでほぼ破産である。
そもそも上がると思って買っていた株が、下がってしまっている時点で、その投資判断が間違いだったということ。こういう時はいったん損切りし、頭をクリアにしてから、その後冷静に、それでもまだ買えると判断したなら翌日に買えば良い。
よくあるパターンとして、今回の新型肺炎相場でもそうだったように、相場が下がり始め含み損になりそこから急落すると、たいていの投資家の頭の中では「これはいくら何でも下がりすぎ」という、自らのポジションを正当化しようとする心理的バイアスが強まってしまい正常な判断ができなくなる。一度こうなると、それまでにどれだけ稼いでいようが、確実に相場を退場しなければならないほどの損失を追ってしまうため、ロスカットポイントはかならず決めて取引をしてほしい。筆者は、過去の苦い経験から、買い値から7%下がったらそこで強制的に取引を終えられるように、購入した後は逆指値を掛けっぱなしにして取引に臨んでいる。
また、一時的にでも大きく資産を増やすことができたなら、待機資金として「現金で3割」は持っていてほしい。そうすれば今回のような暴落時に、底値で買える可能性がでてくるので、それまでの負けがチャラどころか、大きくプラスに持っていくことさえできる。ようするに大暴落相場は、それまでの悲しい損切り分をチャラにし、そこから経済再生の波で一生働かなくても良くなるようなチャンスが約束されるものだと認識してほしい。得てして相場は、ボラティリティを求め、何事も過剰に反応しがちな性質を持つため、いかなるポジションにおいても絶対的な勝利は望めない。ただ、今回のような大暴落ともなれば、かなりのエッジで上方向のバイアスが働き、誰でも大きく勝てる相場がやってくる。そういう時に買えないということがないように心がけてほしい。
さて、先週までの状況をまとめたい。
まずはPERの観点から。「日経平均」の予想PERは3月19日(木)に10.76倍となった。特に3月19日(木)は一時、2018年12月25日につけた大暴落時の10.71に並んだ。確かに、過去最低はリーマンショック時につけた日経平均PER9.53倍だというだが、今回の新型肺炎(コロナウイルス)による景気後退は、リーマンショック時のような経済の根幹を折る金融危機と同じだとは思えない。アベノミクス時の最低PERが11.94倍だったことも鑑み、いったんここらで下げ止まりの可能性が出てきた、と判断したい。
またPBRに関しては、前稿でも記したが、リーマンショックの際に0.83倍あった。現在は0.84倍と、底入れを示すシグナルとしてはこちらのほうが適当だろうか!
また3月2週目の海外勢の売買動向をみると、現物の売り物が大量に出ただけで先物はさほど売っていない(※テクニカルの項後述)。逆にマザーズなどは買われている。これは、海外勢がここからの急落を予期していないことになる。
先週3月19日(木)の空売り比率をみても41%と平時に戻っていた。さすがに、ここから売り崩して一儲けするのは困難だという証拠になっている、と感じている。先週の19日の地合いは何かが壊れたような売りがでてきていて、地合いがまともではなかったことも付け加えたい。この日はこれまでスター銘柄と囃し立てられ買われ続けていた半導体の大型株が、大急落していたこともある。また東証REIT(リート)指数が、もはやアベノミクス前の時点まで逆戻りとなる大暴落となっていた。東証REITに上場する銘柄の半分近くはストップ安だったのだ。