アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

<書籍紹介>「笑うFC本部、泣く加盟店オーナー コンビニ 不都合な真実」(月刊『ベルダ』編集部著)

 本紙・山岡が「狙われるシルバー世代」の連載を持たせてもらっている会員制情報誌『ベルダ』(ベストブック。本社・東京都港区)編集部が、大手マスコミが軒並み沈黙する中、かつてのサラ金やトヨタ自動車同様、いまや企業にあってはタブー中のタブーといっていい「セブンーイレブン・ジャパン」(親会社は東証1部「セブン&アイ・ホールディングス」。村田紀敏代表取締役社長。下右写真)に代表されるコンビニ商法の問題点を世に問うた渾身の一冊(写真)を出した。
サラ金やトヨタが巨額の広告費であるのに対し、コンビニはキヨスクを持つJR同様、大きな雑誌販売網も持つことで週刊誌を中心に大手マスコミを沈黙させて来た(そもそも全国紙、テレビは事件化しない限りまず報じない)。その典型例が『エコノミスト』(毎日新聞社)。
 2005年6月、同誌に日本大学名誉教授の北野弘久氏(横左写真)が執筆した「セブン‐イレブン会計マジックを糾す」というタイトルの3P論文が載ったが、その直前、セブンーイレブンの幹部が毎日新聞社を訪問、「社長を出せ」とものすごい剣幕で抗議。すでに雑誌は印刷に回す寸前で記事差替にこそならなかったが、北野氏の了解を得ないまま、一部記事が削除された。その部分とは、《私は、希代の詐欺集団であった豊田商事の被害者弁護団長をつとめたが、コンビニの優良企業といわれるセブン‐イレブンの詐術は、豊田商事以上であるという感を深くしている》だった。
豊田商事事件とは、いうまでもなく1985年に大きな社会問題になった一大詐欺事件を指す。一人暮らしの老人などを狙って金の地金の購入を持ちかけ、契約が成立すると、金の現物ではなく「預かり証券」だけを渡し、代金をそっくり騙し取るという手口で、被害者は全国で数万人、被害総額はおよそ2000億円に上った。
税法に精通した北野氏はこの被害者弁護団長を引き受け、豊田商事の破産管財人(中坊公平弁護士=当時)は国から税金を回収し、それを被害者の救済資金に当たることが出来た。
このように豊田商事の悪辣さを知り尽くした北野氏が、「セブン‐イレブンの詐術は豊田商事以上」と、社会の木鐸たる大新聞が発行する経済誌上で論陣を張った。その記述が、もし根拠のない言い掛かりならば名誉棄損罪に問われることを法律家である北野氏が知らないはずはない。氏は相当の確信と覚悟をもって、前記の一文をしたためたと推察される。
それだけに、北野氏はこの論文の一部削除に対し、「学問の自由への侵害であり、言論機関である新聞社が巨大コンビニ企業の暴力に屈したもの」として、毎日新聞社に強く抗議した。
だが、『エコノミスト』翌週号には山口俊郎セブン‐イレブン・ジャパン社長の反論記事「セブン‐イレブンの反論??会計処理方法について」が掲載され(3P)、この騒動以降、現在に至るまで同誌にセブン‐イレブン商法に関する記事が掲載された形跡はない。

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