アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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身寄りのない孤独高齢者を狙う「地面師」

手元に神奈川県川崎市麻生区内のある建物の登記簿謄本(冒頭写真)がある。所有権の事項をみると、2004年2月(ただし受付は17年7月)にK・A女史から、東京都北区に住むS・Y女史に所有権が移転し、さらに所有権は17年8月に(有)A社に移っている。
S女史にへ所有権移転したというにも拘わらず13年以上登記してなかったこと、親族でもないと思われるのに所有権移転原因が「贈与」となっていることでも想起できるように、しかしその背後に“黒い履歴”があることは一部の関係者しか知らない。
この問題に詳しいA氏が打ち明ける。
「もともとの所有者Kさんの死亡後にSさんに所有権が移転したのですが、ここにカラクリがあるのです。実は、Kさんはまったく身内がない天涯孤独の身。そんな境遇のKさんが死んだのを奇貨として、ある人物が勝手に所有権を移したのです」。
A氏によれば、K女史は孤独の身であり、生前S女史とは一面識もなかったという。そして、このS女史はいわばダミーで、その背後に他人の建物を勝手にいただく絵図を書いた黒幕がいるという(仮にX氏とするが、以下では実名表記、顔写真も掲載)。
A氏の告白を続けよう。
「Xはこの物件を(有)A社に100万円で売却したのですが、そのうちの30万円がSさんに渡っています」。
100万円とは著しく廉価と受け取る向きもあるが、
「あの物件には約1000万円の抵当権が付いている。そのため買う業者などはほとんどいない。Xも複数の業者に持ち込んだが軒並み断られ、ようやくA社と折り合った結果です」。
それにしても、贈与される側の人物(S女史)を用意したうえで、公文書を偽造するとは極めて大胆不敵な“荒業”だ。一体、Xとはどんな人物なのかーー。
しかも、冒頭で叩き売った物件は100万円という金額もそうだが、建物自体も古く小さいものだった(冒頭写真)が、はるかに大きな仕事もしていた。

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