筆者・平地治美(薬剤師。鍼灸師)。漢方の良さを伝えるため、日々の臨床では治療だけではなく自然治癒力を高めるための“養生”の指導に特に力を入れ、一般の人たちへの健康指導を積極的に行う。朝日カルチャーセンター新宿、津田沼カルチャーセンター等で「女性のための漢方レッスン」「舌診入門」「季節の過ごし方と食養生」などの漢方関連の講座を担当。和光治療院・漢方薬局(千葉市若葉区TEL043-232-6258)で治療。千葉大学医学部医学院和漢診療学講座非常勤講師。京都大学伝統医療文化研究班員。日本伝統鍼灸学会理事。漢方三考塾講師。著書に『げきポカ』(ダイヤモンド社)、『舌を見る、動かす、食べるで健康になる』(日貿出版)。「平地治美の漢方ブログ」発信中。
ヨモギは、世界各国に自生する植物です。外用、内服、燻蒸(よもぎ蒸し)、灸、食用などに現在も広く使われています。
聖書にも記載があり、「ハーブの女王」と呼ばれ古くから使われてきました。
ギリシャやアラビア半島、南ヨーロッパでもヨモギは古くから使われ、エジプトではピラミッドを建てた時に奴隷たちのスタミナ源として使われました。
西洋薬の研究においては、マラリアの治療に有効であることが分かっています。
別名「もちぐさ」と呼ばれ、草餅の材料でもあります。
ヨモギの語源は、よく萌えでる草だから「善萌草」、四方に繁殖する草だから「四方草」、モグサにして「よく燃える草」だから「ヨモギ」など諸説あります。
●ヨモギで殺人事件?
1797年、スイスでニガヨモギを用いた「アブサン」というお酒が作られました。ヨーロッパはもちろんアメリカにも広まるほど、人気が高まりました。しかし中毒性があったため、飲みすぎると幻覚や妄想を引き起こす人や、実際に人を殺してしまった事件(「アブサン殺人」)も起こり、1915年に発売中止となってしまいました。