アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<新連載>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』(第34回)「1968年映画祭での意外な収穫」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 先日「1968年映画祭」とかいうのをやっていて、よくある定番のノスタルジーものかと思ったら、企画したのが日大芸術学部の現役の女子学生たちなんだって。全共闘なんて昔話でも知らないような学生が、どんな風にやってるのか面白そうなので、行ってみました。
その日は、『死者よ来たりて我が退路を断て』という、知られざるドキュメンタリー。何と、68年暮れから69年1月の日大芸闘委(日大全共闘芸術学部闘争委員会)の面々を撮った記録映画。この映画祭でも上映された、『日大闘争』(全共闘・映画班製作)や、京大を舞台の『パルチザン前史』(土本典昭監督)などは、何度も観たけど、これは初めて。あの芸闘委の闘いのドキュメントを、43年後の現役学生はどんな風に観るのだろうか。会場は、若い人は少なく、昔の闘士らしき初老のおっさんが大勢いて、この雰囲気、旧作の日本映画を上映する映画館(文芸坐、神保町シアター、阿佐ヶ谷ラピュタとかね)の客層に重なるとこ多し。今どきの学生は就活に追われて、68年どころじゃないってか。
面白かったのは、よくある闘争記録映画というよりは、バリケードの中の日常を主軸に撮っていることだ。集会のアジテーションではなく、とりとめもない軟派な会話や、くだらないジョーク、即席ラーメンをすすったり、正月だからってモチつきをしたり、普通のにいちゃん、ねえちゃんたちが、それこそ機動隊や右翼体育会との激突の修羅場を通して「闘士」になった感じがよく分かる。さらに、芸術学部のある江古田の町でデモをするシーンなど、狭い商店街なのに、なんか買い物客やお店の人々が近くにいて、日常生活と地続きなところがなんだか面白い。

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