3月1日、警視庁保安課が、アダルトビデオ(AV)の自主審査機関最大手「日本ビデオ倫理協会」(通称・ビデ倫)の審査部統括部長(映画会社「大映」元副社長)等5名を、わいせつ図画販売と同ほう助容疑で逮捕したのは大手マスコミ既報の通り。
警視庁は昨年8月、ビデ倫を家宅捜索しており(写真=ビデ倫の広報資料)、この間、関係者を事情聴取していた。
かつてはAV作品審査をほぼ独占していたが、90年代からユーザーに格安販売するメーカーが続々登場(ビデ倫はレンタル作品中心)。その新興勢力はその後、独自の審査機関を設立。その審査基準はビデ倫より総じて緩かったことから、やがてビデ倫加盟メーカーも他の審査機関に代わる様になり、現在も最大手とはいえ、ビデ倫の影響力は大きく落ちていた。
こうしたなか、焦ったビデ倫は2006年6月に審査基準の一部を改訂。これにより、審査が緩くなり、直後に審査を通った前掲の3作品が罪に問われたとされる。
だが、ビデ倫はその後、審査を再び強めており、どんなに悪意的に見ても、いま出回っているもののモザイクの薄さは他の審査機関並。また、これまでの業界に対する貢献(これまで一度として問題を起こしたことはない。またネット上などでは無修正ものが半ば公然と出回るなか、加盟メーカーからは「こんなにモザイクが濃くては売れない」と批判されていたほど)を思えば、なぜ、ビデ倫だけが、そしてメーカー側だけでなく、審査部統括部長まで逮捕されるのか、疑問の声が出るのは当然ともいえる。