アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第4回「東京五輪の1964年は決して人情あふれるほのぼの時代じゃなかった」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 こないだ観た「NHKスペシャル 東京ブラックホール」(10月13日放映)は結構面白かったね。これは俳優の山田孝之扮する主人公が突然過去の時代にタイムスリップして、そこで生きてゆくというもの。
フィクションと当時の記録映像をミックスして時代の雰囲気を出すというユニークな試みで、第1弾が敗戦直後の焼け跡・闇市の時代、そして今回が東京オリンピックの1964年なのだ。
面白いのは、セットでのドラマと並行して、山田を当時の記録映像にはめこんでゆく手法だ。たとえば、当時の銀座の雑踏を山田が実際に歩いているように見せる。リアリティがあって時代の実感がつたわってくるってわけ。
さて東京オリンピックの1964年といえば、戦後19年にして、高度経済成長で日本も様変わり、新幹線が走り、高速道路ができて、夢と希望にあふれた時代なんてイメージが一般的だろう。
 ところがこの番組は、むしろこの時代の光と影の「影」=マイナス面にスポットを当てる。冒頭、主人公は2020年五輪に向けた工事現場で働くが、タイムスリップした先も目前の五輪を控えた工事現場で、「そんなとこで寝てるんじゃねえ!」と早速ドヤされてあたふたする。
この頃、東京は五輪を控えての工事だらけで、重労働に安全管理の杜撰さで転落死亡事故も続出。皆、劣悪な労働条件で働かされていたのだ。この時代はまた、集団就職で地方から続々中卒の少年少女が上京してくる。「金のタマゴ」なんてちやほやされているかと思ったら、低賃金・長時間労働でこきつかわれている。映像でも集団就職の少女たちが、上野あたりの「聚楽」のような大食堂で働いて、狭苦しい寮に何人も押し込まれ遊ぶ余裕もない様子が描かれる。
一方で、丸の内あたりのホワイトカラーのサラリーマンとOLが優雅に銀座でデートしたりと、高度成長は格差を助長したのが分かる。

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