■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は、20,704円と先週比で-7円安(前稿+292円⇒ ▲266円→ ▲419円→ ▲517円→ +191円→ ▲219円→ ▲60円→ +470>円)と、ほぼヨコヨコの動きとなり、土曜朝に日経平均CFDを確認しても20,683円とヨコ這いだったので、どちらかといえば強持ち合い、といった感じとなっている。
今週の週明け9月1日(日)には、トランプ大統領による対中追加関税第4弾(※1200億ドルに追加関税15%)が発動され、同時刻に中国からも報復関税が行われたことを、市場がしっかり折り込めているかが試される。筆者予想では、29日近辺に、米中間で「異なるレベル!?」での協議が行われたことに対する期待があった可能性があるものの、事前に追加関税回避に向けた大きな動きが見られなかったかったことから、寄り付きだけの軽い影響で済むのではないか? と考えている。問題はそこからだ。
9月に入り、8月1日の暴落から1ヵ月が経った。その間の日経平均株価(現物)の高値は、8月9日の20,782円。以降は、これに迫ることはあっても、すぐに値を保てなくなり急落する、を繰り返していたが、先週金曜日夜時間の日経平均先物では、一時20,790円をつけた後も比較的、頑強に値を保っていた。今週は、この日経平均株価の高値20790円を超えて推移できれば、需給上、指数構成企業以外の銘柄にも、資金が入るだろう。
ただ現在は、株価がドカーン!と上がりそうな状況にないことだけは間違いない。残念ではあるが、世界中で不透明感(貿易戦争・ブレグジット・政治状況)が濃すぎて、どの角度からみてもリスクオンになる見立てができないのだ。だが逆に、米国ではこうした環
境の中、安全運用が極まった結果、債券が買われすぎてしまったため、そろそろ逆流を起こしそうな気配がでている。※テクニカルの項目(CFTC建玉参照)。これはわかりやすく株価の追い風だ。
日本国内に関しても、8月29日付けで、裁定売り残が約1兆9800億円と、裁定買い残の水準から大きく乖離してしまっている。この理由として、国内の金融機関が昨年秋頃から、「高配当株買い&トピックス売りをしていた」とか、日銀買いのETF組成のための現物の売り需要であるなど、諸説報道されているが、いずれにせよ現物株式が売られて積み上がっている以上、将来の買戻し需要が少なからずあると断定してよいのではないだろうか! 逆に、過去最高レベルの裁定売り残をみれば、ここから日本株を売りづらいことだけは容易に想像できるのだ。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。今週は、日経平均株価指数の20,790円を睨む週であるとは前述した通り。どちらかといえば、上方向を見て挑む週となるが、気をつたいのは、米国の経済指標。特に9月3日(火)のPM23:00(※テクニカルの項に後述)は要注意だ。仮に、このマインド指数が悪くなれば、「9月19日(木)のFOMCで利下げが行われても、もう手遅れ」などというムードになりかねない。そういう意味では9月5日(木)PM23:00(※テクニカルの項に後述)も同様だろう。今週も慎重に市場に臨みたい。
最後に、筆者個人のトレードを振り返る。前稿で予告した通り、先週は月曜寄り付き前に日経平均先物を買って、午後15時過ぎに買い戻した。多少の利益はでたものの、その後の大きな上昇は取れず、地団駄を踏んだわけだ。ただ、この先物での+200円以上の一気の上昇は、トランプ大統領のツイート「中国から我が国も通商チームに電話があり、協議の場に戻ろうと言ってきた。非常に生産的な内容で、しかも2回かかってきた」というもの。これを、中国側としては真っ向から否定するとともに、トランプ大統領に対し大きな不信感を抱かせたことは、想像に難しくない。この男のツイートは気ままにもほどがある。また彼を支持する米国人に対しても「?」マークを感じざるをえないのだが……。