6月13日発売の『週刊文春』(冒頭写真)は、小沢一郎・民主党元代表の妻・和子夫人の直筆とする「離縁状」を掲載。そのなかで、昨年3月11日発生の東日本大震災直後、小沢氏が放射能が怖くて岩手から逃げ出そうとしていたといったエピソードを紹介。「こんな男を国政に送る手伝いをしてきたことを深く恥じています」などと結んだ内容だった。
さすがに、大手マスコミにあっては週刊誌の後追いは変なプライドもあり、「読売」(6月23日)以外は大きく報じていない。だが、小沢氏にとって、有権者に対しかなりのマイナスの影響を与えたことは容易に想像がつく。「これで小沢の政治生命は終わった」と断じる政治ジャーナリストもいるほどだ。
だが、冷静に考えればこの『週刊文春』のスクープとされる記事、疑問に感じないわけにいかない。
何しろ、出た時期が時期だ。
本紙は例の強制起訴の件は、証拠主義、他の政治家との公平性、その時期などから考え、小沢氏の政治生命を抹殺しようとしていると判断。確かに、小沢氏が古いタイプの政治家で、ゼネコンからの裏献金などを受けていてもおかしくないと思うが、今回、小沢氏を抹殺しようとしていると思われる勢力は小沢氏よりはるかに巨大な権力を有しているし、私益に走り、国民の側をより向いていないとの判断から、結果的に、小沢氏擁護の記事をこの間、何度と報じて来た。
そして、強制起訴の件では1審無罪となったと思ったら、訴訟で無理なら、今度は身内の“紙爆弾”でとばかりの今回の『週刊文春』記事が登場した。
しかも、時は消費税値上げを巡り喧々諤々していた渦中だった。おまけに、国民目線に立てば、「先にもっとやるべきことがある」と、小沢氏がいま消費税を上げることは反対と、当然のことをいっているにも拘わらずだ。
繰り返すが、今回の『週刊文春』記事は、事実関係より前に、まず小沢潰しがあるとしか思えない(+発売後、妻とされるその手紙コピーが全国会議員に都内消印で送られている模様)。
そして、ここに来て、もっと根本的な疑問を呈する報道も出て来た。
そもそも、この手紙、妻のものではないのではないかという、有田芳生・参議院議員などをインタビューした6月26日発売の『週刊SPA』、6月28日発売の『週刊ポスト』の小沢氏妻は精神的におかしく、事実でないことを多々言っている可能性もあるとする記事などだ。