東京証券取引所は今夏の取締役会で上場廃止基準の改正を決め、年内にも実施するという。(冒頭写真=「日経」6月9日記事)
契機は、昨年、有価証券報告書の虚偽記載が発覚したオリンパス。現行ルールの虚偽記載の場合、「影響が重大」だった場合、直ちに上場廃止になるが、その基準が曖昧であることから、オリンパスの株価は乱高下した(下写真=オリンパス株価チャート図)。
そのため、虚偽記載があった場合、新設した「特設注意市場銘柄」に自動的に指定。3年内に改善されれば上場を維持、されなければ上場廃止になるとの改正になる模様(ただし、虚偽記載で2期連続の債務超過を隠すなど通常の上場基準を満たしていない場合は上場廃止に)。
米NY証券証券取引所など海外主要取引所では、虚偽記載という理由だけでは上場廃止に踏み切らない。また、上場廃止になれば株券が実質紙クズになるため、株主共済の意味からも、こうした見直しをする模様だ。
だが、その見直しを一般株主や投資家が歓迎しているかというと必ずしもそうではないようだ。
ネット上で少し覗いてみても、「オリンパスは上場廃止にすべきだった」「これって、経営状態が悪い会社はとりあえず粉飾し、3年で業績回復させればいいということ?」「これで投資家(一般ではなく大口の)の安心感(逃げ場提供)を高めるわけですね」「まともな投資家無視のインチキ市場へ」といった厳しい意見も多い。
虚偽記載、東証に限ったわけではないが、実際、オリンパス事件以降の新興市場の増資についてみても、こんな状況で認めるのかと驚くようなケースが目立っており、各証券会社は、本気で市場の適正化に務めているのか疑問と思わないわけにはいかない。
以下、この数カ月内の実例を4つ挙げておこう。