アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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東北大学総長の「不正論文」疑惑ーー証拠の実験記録紛失の奇っ怪釈明

 東大や京大と並び、わが国を代表する東北大学、しかもそのトップで、かつ「金属材料の世界的権威」である井上明久総長(右写真)の論文に不正疑惑が浮上している。
もっとも、大手マスコミはいまのところ無視。新聞では「河北新報」が唯一報じているぐらい。ただし、それも断片的なことだけで、全体像について書かれているのは昨年12月末発売の月刊経済誌『ZAITEN』(08年2月号。07年11月号にも関連記事あり)レポートだけだろう(上左写真)。
詳細は同記事をご覧いただくとして、概略だけ述べておこう。
不正疑惑が出ているのは、井上総長が93年に書いた「バルク金属ガラス」に関するもの。
この金属ガラス、「ガラスのように自由に加工でき、しかも鉄鋼のように強い」夢の素材という。井上氏は同論文で直径16?のものを生成したと報告。この研究で一挙に「世界的権威」となった。
ところが、他の研究者が実験しても「直径4?以下でしかガラスにならない」、しかも「直径2?でも結晶にガラスが混在する」と完全なものが出来ないとして、以前から専門家のなかには疑問視する声もあったようだ。
その疑問を大きくしているのは、以降、98年までに井上氏は3本の論文を出ているものの、今日まで、この金属ガラスに関するさらなる成果があったとする報告がまったく出ていないこと。
こうしたなか、07年5月、文部科学省の不正防止等担当窓口に匿名ながら「告発文」が届き、東北大学は翌6月、「対応委員会」を設置した。

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