去る5月20日、東京高等裁判所内で、成田国際空港会社(NAA)が「三里塚現地闘争本部」の撤去・明け渡しを求めた訴訟の控訴審判決後、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長ら50名が逮捕されたことは大手マスコミ既報の通りだが、その後22日夜に反対同盟員らは釈放されたものの、いまだ30数人が警視庁に勾留されているという。
「三里塚裁判で50名逮捕」と聞けば、ある年代以上の人は「いまだに争っているのか」と驚くだろうし、「相変わらず過激派が暴れているのか」とあきれるかもしれない。実際、テレビ報道も「中核派の活動家らが居座り」と警察発表しか報じていないから、無理もない。
だが、関係者に取材すると、公安警察の明らかな行き過ぎや、東京高裁・井上裁判長の強引な審議の進め方が浮かび上がってくる。
当日、反対派は現闘本部の撤去を求める「不当判決」が下されることを予想し、午前中から東京高裁前でビラまきと、霞ヶ関一帯のデモ(写真。約150名)をおこなっていた。
「そして法廷で井上繁規裁判長(第15民事部)が、強制撤去が可能な仮執行宣言を含め、NAA側の主張を全面的に認めた判決を出したのです。傍聴者から『でたらめだ』などと怒りの声があがりました。問題はその後です」(関係者)。
判決後、高裁第15民事部の前に集まった人々が、かけつけた機動隊員によって「不退去罪」で全員逮捕されたのだった。
実はこのとき反対派は、弁護士とともに強制執行の停止を申し立てていたに過ぎなかった。それを裁判所の出動要請を受け、「居座り」の現行犯と判断したのは警視庁公安部。