本紙はこの3月、福島第一原発で働いたものの、余りの賃金の安さ、それに放射能防護策がまったく出来ていないことから雇い主とトラブルになっている作業員本人に接触することができた。
ネット上などで日当4?50万円なんて値も聞かれるが、その作業員N氏(50代)の日当は何と6650円だった(実労3時間半。時給換算で1900円)。
当然ながら、被曝の可能性があることから、4?50万円積まれても嫌だという者も多い中、真相は何と普段の仕事の相場とビタ一文変わらなかったというのだ。
しかも、放射能防護策もひどいものだった。
N氏当人が証言する。
「私の仕事は4号機の横に、炉心冷却用の大きな水槽を設置するため、重機を使ってガレキを撤去し、縦50M×横30Mほどの更地を作ることでした。
ですが、作業するに当たり、“粉塵用”の防護服(“放射線用”ではない)をもらっただけ。放射能対策についての説明は東電からも、派遣元からも一切ありませんでした。線量計の支給もなかったし、放射線管理手帳の存在も後で知りました。そんなもの、もらっていません。作業を終えた後、放射能測定は受けましたが、測定時、手帳のことなんか何も聞かれなかったし、自分の周りの者も誰も持ってませんでしたよ」
N氏は被曝の恐怖に怯えており、明日、専門の病院で測定してもらうという。
というのは、N氏の場合、重機での作業だった分、完全ではないもののある程度、密閉された空間での作業。それにも関わらず、線量計の測定時、針が大きく振れ、測定者から毎回、フィルターを交換するように指摘されたという。また、仲間の一人は作業後、咳が止まらず、被曝の可能性もあるという。
「Oさんは兄弟で作業してましたが、“発電所の仕事”と騙されて連れて来られたといってました」(N氏)
(以下に「作業証明書」と「給与明細書」転載)