■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は、21,658円と前稿比で+191円(前稿▲219円⇒ ▲60円→ +470円→ +17円→ +142円→ +232円→ +284円)高となった。
さて、今週はさっそくストラテジーへと移りたい。のっけから結論を書くと、今週は難しい週である。なにせイベントが多すぎて、これでは神経の休まる時間がないからだ。そんななかでも今週は、?逃げ腰モードの買い?で良いのではないか!?と考えている。
さて、今週の最大の注目イベントは、8月1日(木)AM3:00に発表される「FOMC政策金利発表」と、AM3:30からの「パウエル議長会見」であることに異論はないだろう。ただ、FEDウォッチをみるに、7月FOMCでの利下げは、25bsであることを完全に折り込んでおり、この利下げ幅ならばFOMC暴落の可能性は低い、とみていい。もちろんその後のパウエル議長のガイダンス次第(※予防的な利下げと過度に言わなければ)ではあるが。
基本的に金利を利下げ時は、株式は買いが正解であることは歴史が証明している。しかも現在の米国の景気市況は、トランプ大統領の米中貿易協議の影響を受けて、センチメントが悪化しているだけで、現在発表されている米国企業決算をみると7割までが「市場予想」を上回っているのだ。ならば利下げの効果で、ますます企業業績の上澄みが望める、という見立てが正しいだろう。
今週、2番目に注目されるイベントは、8月1日(木)で現在調整中の「?日米?閣僚級通商協議」であろう。特に大きなダメージを負いかねない「為替条項」に話が及ばないことを祈りたい。不気味なのは、先週事務方の下交渉があったはずだが、この報道を目にしていないこと。そして、この日程の前日まで「米中貿易協議」が開かれていることだ。
おそらく米中貿易協議は、米国側にとってフラストレーションだけが溜まる展開となる。日米通商協議がその後の日程となってしまったことは、プラスになりようがない。また交渉で一番厳しいのが、この「閣僚級協議」の可能性が高い。日本に対しては高めの剛速球を投げてくるのはライトハイザー氏で、TOP同士でいざ合意をする際には一転妥協する形でまとまるものと思われる。よってこのイベント付近では、為替の動きに注視してもらいたい。
他にも今週には、日米ともに企業決算発表がピークを迎える。また、8月2日(金)には、通常ならば月で一番大きなイベントとなるだろう「米国7月雇用統計」(21:30)が発表される。その他にも、日銀政策金利決定会合や、米国や中国の重要経済指標が目白押しだ。
そんな、せわしなく重要イベントが勢ぞろいする週となるが、筆者の今週の見立ては、?逃げ腰モードの買い?であることは前述の通り! それでは、なにを買えばいいのかといえば、半導体関連銘柄を含む一部の景気敏感株しかない!
先週、減収減益決算を発表したはずの「アドバンテスト(6857)」は、受注状況から下期のV字回復が見込まれることがわかるや、現状でリーマンショック後の高値だったにも関わらず狂気じみたS高となって、翌日の金曜日も踏ん張っている。これ以外でも、シリコンウエハーの価格がまったく落ちることなく、逆に値上がりで販売ができていたことがわかった「信越化学(4063)」も、すさまじい上昇となった。
景気敏感株のなかでも、現在は半導体関連と、5G関連、車載・EV関連だけが下期の業績続伸を思わせるような受注動向が明らかになっている。特にメモリーやロジック半導体の在庫調整が進み、価格が値上がりする傾向がでてきた「半導体関連株」は、一気の上昇をみせる可能性があるので、筆者が買い持ちしている「SUMCO(3436)」と「東京エレクトロン(8035)」は、まだ売る気が起きないでいる。
通常8月は夏枯れ相場となり、パフォーマンスが悪いのが常だが(上右写真)
、こうまで出来高がない状況ならば、逆に出来高が膨らんだ時に、値上がりするか?値下がりするか?を確認してから判断しても間に合う、と考えたい。