アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「ホームレス自立支援法」から5年――ホームレスは減ったのか?

本紙でもホームレス問題については、行政の対応を問う角度から、これまで何度か取り上げている。
その行政側が導入した「ホームレス自立支援法」(ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法)は、成立してから今年で5年目を迎える。成果はどうなのか?
7月27日、東京・新宿区の角筈区民ホールで、「ホームレスは減ったのか?『貧困』と『排除』にNO!7・27集会」(主催は同集会実行委員会)が開かれ、約180人が参加した。そこで、現場側の声を聞いてみた。

●ホームレスとネットカフェ難民は違う?

 まずはじめに、静岡大学教授(憲法学)の笹沼弘志氏(写真)より「ホームレス・カウントされない命と社会的排除」と題した基調講演があった。
笹沼氏は、「自立支援法でホームレスは減った、次はネットカフェ難民だ、と厚生労働省は言うが、本当にそうなのか?」と問題提起。確かにホームレスが減ったように見えるが、減ったのは定住型のテント生活者だけで、移動型のホームレスは減っていないとのことだ。
しかも、「減った」といっても、大阪の長居公園に見られる強制排除や、様々な施設への収容などによって減ったように見えるだけ。ホームレスの「自立」が進んでいるとは、とても言えないのが現状のようだ。
「ネットカフェ難民とホームレスを分けて考えることもおかしい」と,笹沼氏は言う。
厚生労働省は「ネットカフェ難民」を「住居喪失労働者」と言い換えて、ホームレスとは区別しようとしている。だが、そもそも安定した住居がない人をホームレスというはず。実際、「ネットカフェ難民」もまったく所持金がない場合は野宿しており、両者の境界線はますます曖昧になっているという。
「ホームレス問題の背景には、日本にまともな住宅政策がないことがある。たとえば生活困窮者に都営住宅を供給するといった政策を、国土交通省は考えようともしない。また、『雇用融解』とも言われる雇用の流動化、労働法制の改悪で、安定した仕事に就くのが難しくなって来た。だから現状を考えると、ホームレスが減ったというより、むしろホームレスに成り得る人々も拡大している、と言えるのではないか」(笹沼氏)

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