前回、「中田カウス恐喝事件」のアウトラインについて述べた。
今回はその取り調べ過程で起きた大阪府警(横写真)がひた隠す中田カウス(下写真)暴行事件はいかにして起こったのかをレポートする。府警の内部事情に詳しい捜査関係者が語る。
「3月末まで、カウスの『恐喝事件』を担当してたんは、捜査4課の大野薫補佐(警部。3月末に警視に昇任し、現在は4課管理官)を班長とした『企業暴力第一班』。大野班は当初、カウスの自宅や、吉本興業への家宅捜索など、強制捜査に乗り出すつもりやった。ところが、地検に待ったをかけられたんで渋々、任意(捜査)に切り替えたんや」
なぜ大阪地検は、府警の強制捜査に?待った?をかけたのか。今度は地検関係者が語る。
「府警は当初、中邨の被害届けと、周辺の関係者の供述だけで、強制捜査に踏み切ろうとしていたからです。そんな強引なやり方に地検は難色を示した。さらに地検はそれらの供述でも、暴力団の具体的な関与が明らかでないにもかかわらず、なぜ暴力団犯罪を取り締まる4課がこの事件を担当するのか? という根本的な疑問を府警に投げかけたのです。
つまり地検は当初から、この事件を筋のいい事件とはみておらず、立件には極めて消極的だった。カウスへの事情聴取も、実際は府警が地検に頼み込んでようやく実現したものだったのです」
前出の捜査関係者が再び語る。
「カウスの聴取は2月末に再開されてから、3月初めまでに5回行なわれ、いずれの聴取も1回あたり8時間前後に及んだらしいわ」
そしてこの事情聴取の最中に、府警捜査員による暴行事件が起こったというのだ。捜査関係者が続ける。