アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

東京美装興業が抱える“古典的”セクハラ訴訟の行方

 セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)は、どこの企業でも起き得る。しかも、北米トヨタの例のように(元秘書が社長にデートの誘いなどを受けたなどとして2006年5月、トヨタ本社、北米トヨタ、社長の3者を提訴。請求額は約212億円。社長はほどなく辞任。和解になったが支払い額は未公表)、被害を訴えたにも拘わらず、カネと引き代えに退社をちらつかせるなど、真摯に対応しなかった場合には重大問題にも発展し得る。
おまけに近年のセクハラは、被害者側は加害者側が上司という地位故、曖昧な態度を取っただけなのに、それを上司は自分に好意を持っていると勘違いし、さらにセクハラ行為を繰り返す擬似恋愛ケースが多いそうだから、その解決はなおさら容易ではない。
 こうしたなか、昨年12月8日、原告のパート清掃員・川崎礼姫さん(横写真。セクハラがあったとされる当時30代前半)が、東証2部のビルメンテ大手「東京美装興業」(東京都新宿区。上写真=原告が所属する同社東京支店)と、加害者とする上司(50代。清掃現場の管理責任者)を訴えたケース(損害請求額は5500万円)は、複数の観点からその行方がなおさら注目される。
第1に、被告会社創業者は日本オリンピック委員会会長まで務め、現社長はその息子であり、特に同社スキー部から有力選手を輩出し、国際的なイメージ・アップを図って来た会社である。第2に、一方、原告は中国出身で、米国同様、同国もセクハラに対して文化的に厳しい見方をしている。ところが、第3に、これに対して、原告の主張を見る限り、被告側は古典的ともいえる「強制わいせつ型」行為を執拗に繰り返しており、それにも拘わらず会社挙げて加害者とされる上司を全面的に擁護している疑いも指摘されているからだ。

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