「シティグループ証券」(東京都千代田区。冒頭写真は入居ビル)といえば、米国最大の金融コングマリットであるシティグループ(東証にも上場している)傘下の法人向け投資銀行だ。
とはいえ、わが国においては違法またはエゲつない商売を度々行い、その評価は決して高くないが、またまた本紙の元には、そのようなトラブルの情報が入って来たので報告しておく。
今回は、不動産の信託受益権売買を巡るものだ。
被害を主張する者を、仮にA社としておこう。
A社は都内は大森と浜松町に所有する不動産の信託受益権をB社に売買することとし、両者の間で06年10月に契約が結ばれ、B社は内金の50億円をA社に支払った。
ところが、その後、B社は売買の1年延期を提案し、その1週間後には売買の中止と内金の返還を求めて来たという。
困ったのはA社。すでに50億円の一部は他の事業資金に使っていたからだ。
詳細は後述するが、A社社長の知らないところで、この内金50億円につき準消費賃借契約が結ばれ、信託受益権売買対象の不動産には根抵当権が設定されており、B社はこれに基づき09年1月に競売申立を行い、翌00年3月にB社は自己競落。買受代金は43億円と50億円の債権を下回っていたため、民事執行法の規定により代金を納付する必要がなく、結果、B社は50億円で、信託受益権でも130億円以上の価値のある不動産を手に入れてしまったというのだ。
さて、この件でどこにシティグループ証券が関与しているかというと、B社は50億円の内35億円をシティから調達していたのだ。
そして、むろんそれだけではなかったから今回、A社は訴えるとしている。