1月20日、東京地裁で、創価学会の谷川佳樹副会長が、『週刊新潮』の記事(08年5月22日号。冒頭写真)で名誉を毀損されたとして、発行元の新潮社、編集長と、記事の骨格となる情報を提供し、発言した矢野絢也元公明党委員長の3者を相手取って1100万円の支払いと謝罪記事掲載を求めた訴訟の判決があった。
判決は、記事の内容には真実と認められる部分も相当あるとして、原告に生じた損害は30万円(+弁護士費用3万円)を認めるのが相当とし、謝罪広告も認めなかった(下写真=判決文)。
この判決の件、全国紙では一切報じられてない。
確かに、一部の名誉毀損は認めたものの、ほとんどは退けた。そして、矢野氏が問題とされた新潮記事で訴えた、学会側の脅迫行為により、家族にまで危害が及ぶことを恐れ、不本意ながら評論活動を辞めることを余儀なくされたというのは「事実であるというべき」と認めたのだ。
一審判決とはいえ、創価学会というわが国最大の宗教団体が、公明党委員長まで勤めた元大物政治家の評論活動を脅迫を持って断念させたと認めたのだ。これは言論の自由、報道の自由の見地から、是非とも報道すべきことではないのか。
創価学会側と矢野氏との間では、すでに『週刊現代』記事を巡って、学会側提訴、これに矢野氏が反訴した訴訟の判決が確定している。本紙でも既報のように、公明党元国会議員3名が矢野氏の自宅に押し入り、矢野氏の議員活動中の重要なメモなどが記されたたくさんの手帳を強奪したとの記事記載は真実であるとし、逆に公明党元国会議員3名に300万円の支払いと手帳返却を命じた。
この判決はさすがに学会側に衝撃が走ったが、一審とはいえ、この手帳強奪に続き、今度は脅迫により言論活動を断念させたとなれば、さらなるダメージだろう。
しかも、今回の『新潮記事』提訴のわずか1週間ほど前、矢野氏は学会が矢野氏に誹謗中傷を繰り返し、言論活動の中止や莫大な寄付の強要をしたとして、慰謝料など5500万円の損害賠償を求めて提訴しているのだ。今回判決はこちらにも有利に働くと思われる。