本紙でも既報のように、「電通」(4324。東証1部。東京都港区。冒頭写真は本社ビル)の子会社「電通ワークス」(東京都中央区)に、LED(発光ダイオード)照明の架空取引を持ちかけ総額約56億円を騙し取ったとして、警視庁組織犯罪対策課が乗り出し、2013年末に事件化した件は昨年11月28日、検察側が上告しなかったことで無罪が確定した。
しかし、これは主犯5名に限ってのことで、実は従犯の1人には1審、2審共に懲役4年の実刑判決が下り、今年2月20日に上告棄却となり、現在、上告棄却異議申し立て中という事実は、大手マスコミは一切報じていないので一般にはまったく知られていない。
仮にこの被告をA氏としておこう。
主犯5名は計5件の架空取引をやったとして起訴され、その被害総額が計56億円とされたが、A氏はその5件のうちの2件に従犯し、その2件の被害総額は計約8億円(実際は回収しており被害はなかった)。
いま、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決算文書を財務省が改ざんしていた件で大騒ぎになっているが、このA氏だけが従犯にも拘わらず実刑判決になった件でも、証拠文書の改ざんがあった疑惑が浮上して来ている。(横写真=「毎日」3月13日夕刊)
こちらの改ざんは事実なら、取り調べた警察以外あり得ないわけで、その結果、実刑となったのなら、ある意味、森友文書改ざん以上にその罪は重い。
それにしても、なぜ主犯が無罪で、その架空販売の1部に関わっただけの、しかも従犯のA氏だけが実刑判決なのか?