総務省は今月招集の通常国会に地方自治法改正案を提出する。自治法を改正して、現在は首長だけに認められている議会招集権を議長にも与えたり、首長の専決処分から副知事、副市長などの人事を外すなど、一部市長の議会無視に歯止めを掛けることを重点とした改正案だ。(冒頭写真=「毎日」1月1日記事)
総務省は、これにより地方自治の特徴である二元代表制を活性化し、それは地方分権を進めるといいたいようだ。
だが、本当にそうなのか?
一連の報道を見ると、本紙で何度も報じている鹿児島県阿久根市や、名古屋市の例など、首長と議会の対立が先鋭化したことを踏まえてのことであり、そして議会側により力を持たせるというのだから、これでは方向性が逆ではないのか。
与党議員の間で首相が選ばれる中央政界の一元代表制と違って、地方政界では議員も首長も住民が直接選ぶ二元代表制であるのはご存じの通り。
本来、そこでの議員、議会の最大の役割は首長が中心となって進める地方政治のチェックだ。だが、現実にはほとんどの現場では議員・議会と首長が癒着し、住民無視の利権政治をやっているのが実態だ。
こうしたなか、しかし、二元代表制だからこそ、こうした政治に対する住民の不満が阿久根市においては竹原信一氏、名古屋市においては河村たかし氏という改革派市長を誕生させたのではなかったのか。