わが国のA証券は、08年3月に「アラビアンブリッジ」(東京都港区。以下AB略)なる会社の指定銀行口座に2億円(手数料も含む)を振り込んだ。
ABの代表であるアルムテイリ・トルキ・ガーゼイ氏(=冒頭写真。76年1月28日生)から、サウジアラビアに設立する証券会社への出資話を持ちかけられた結果だ。
オイルマネーの影響で、いま向こうの株は堅調。ただし現状、外国人が向こうの株を売買することは不可能だ。そこでABが計画している証券会社に少数割合(1・2%)で出資してもらえれば、同証券を通して投資可能だし、同証券が上場したら上場益も得られる。オイルマネーとのパイプもできるなどと、メリットを散々吹き込まれた結果のようだ。
ところが、なかなか証券会社は設立されないことなどからA証券は1年後に解約を申し出、09年6月に清算金として8000万円返金を受けることで合意。だが、ABは2度に渡り支払いを不履行としたためA証券は東京地裁に提訴。11年3月に以前通りの8000万円支払うことで和解が成立。だが、それでもABは支払わない。そこでA証券は銀行口座の差し押さえ(3つ)をしたが残金は計たった1万円少しだった。
この間、ABのオフィスはレンタルオフィス(横写真は入居ビル)に代わり、活動実態は不明。またガーゼイ氏は自宅を引っ越し、どこにいるのか不明になってしまった。
A証券は昨年末、弁護士名で、レンタルオフィスの住所に詐欺の可能性もあり、このままでは刑事告訴もあり得る旨の「催告書」を送ったが、1カ月以上経過した現在も梨の礫だという。