アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

あまりにずさんな郵政公社の対応 。遅れて届いて当たり前?

先日、本紙読者のある会社経営者から、「郵政公社(横写真)にひどいめにあわされた。ぜひアクセスジャーナルでとりあげてほしい」との依頼があり、本人に話を聞いた。  この会社経営者(以下、Fさん)は、昨年(2006年)末、12月28日の正午過ぎに、芝郵便局で岐阜県美濃加茂市にある取引先に宛てて、書留(配達記録付)を送ろうとした。中身は資金繰り用の小切手であり、翌日29日午前中に必ず届かなければ、Fさんの会社及び取引先の資金繰りが悪化してしまう。そのためFさんは、「速達」にすることにしたが、それでも不安なので窓口の職員に相談したところ、「不安であれば保険をかければ」と言われ、損害要償額500万円(最高)の郵便料金を支払った。  ところが翌日午後、取引先から小切手がまだ届かないとの連絡が入り、Fさんはあわてて郵便局に問い合わせた。しかし配達記録で送ったにも拘わらず、「現在どこにあるのか不明です」。29日19:30頃、ようやく芝郵便局の課長から「岐阜中央郵便局まで届いていることは解っている」との連絡が入った。結局、あらためて30日午後に芝郵便局の課長に電話をしたところ、29日の18:38に取引先に届いたことがわかった。  Fさんは29日の午前中に届くと思っていたが、結局「18:38到着」と大幅な遅配。これによる被害は甚大となった。 「結局年越しできず、社員の給料や家賃等が払えず、当社最大の取引先からは取引停止を告げられ」「2人の社員も1月付けで退職」「危ないという噂が広がり、もはや倒産は避けられそうもありません」と最悪の事態に……。 (下写真。10月の民営化に向け、その持ち株会社となる「日本郵政」社長に就任している西川善文元三井住友銀行頭取)  憤懣やるかたないFさんは、郵便局と話し合いを持つことにした。  1月5日に芝郵便局を訪問し、「保険の部署と話したい」と要求したところ、「保険を別に集めているわけではなく、郵便料金に組み入れている」と聞き、“保険は別立て”と思っていたFさんは驚いた。  では「責任者を出してほしい」と要求したところ、「東京支社に相談する」と言われ、1月16日に東京支社の係長と面談。すると係長は「本社が調査している」「東京支社には権限がない」と素っ気ない返答。憤りを覚えつつFさんが「では、調査をしている担当部署はどこですか」とたずねると、「教えられない」との返事で、Fさんの怒りも頂点に達した。  その後、Fさんが損害賠償を請求し、回答を文書で要求したところ、1月19日、「権限がない」と言われたはずの芝郵便局の局長名で回答が来た。 それによると、「降雪の影響で配達局の美濃加茂郵便局に通常到着する時間帯に到着しなかったことは事実」としながら、「他の郵便物で速達としないものに優先して送達いたしました」等として、「ご請求には応じかねる」と結んでいた(後の調べでは、当日岐阜県に降雪はなく、交通がマヒしたことはありえないことが判明)。  納得できないFさんはその後も芝郵便局や郵政本社に赴き、話し合いを続けたが、請求は断られ続けた。そして2月9日付けで、「日本郵政公社・執行役員」名の回答を得た(すぐ上の写真)が、それによると、書留の取扱いを規定している郵便法第58条及び約款116条は、郵便物が郵政公社の取扱中に「亡失又はき損した場合」に限って賠償するもの、としている。だから配達の遅れによる損害賠償請求には応じられない、ということだ。 「遅れても賠償金が支払われないのであれば、最初から自分で新幹線に乗って届けていた」とFさんは言う。  Fさんが始めに「明日の午前中に必ず届けたいのだが」と窓口で相談したとき、職員が「不安であれば保険をかければ」とアドバイスしたからこそ、Fさんは遅れた場合の「保険」と考えて、通常料金よりずっと高い2730円の郵便料金を払った。ここに認識の“ずれ”が生じている。  この段階で職員が、しっかり「遅れて届いても賠償金は出ません」と言っていれば、このような事態にはならなかった。  記者が損害賠償制度について「日本郵政公社サービス相談センター」に電話で問い合わせたところ、女性オペレーターが、賠償に応じる理由として、「破損、紛失」と並んで、「大幅な遅延」と3つの理由を上げた。  ところがその後、改めて「郵便事業総本部・経営管理部」に問い合わせると、「遅延で弁償することは、制度上ないし、したこともありません」「紛失したものが後から見つかったとき、大幅に遅れてお届けすることはありますが、それはあくまでも紛失に対する賠償です」との返事だった。  末端の窓口での対応がしっかり統一されていないのは問題ではないか。今回の事例のように、誤解を生む原因になる。  さらに、保険が別立てになっておらず、責任を持って対応できる部署がないのも疑問だ。  損害賠償制度として成立しているのであれば、保険金が別に積み立てられていると考えるのが常識だが、郵便料金に組み込まれているだけなのだ。これで本当に保険と言えるのだろうか。Fさんが交渉する際にさんざんたらいまわしにされたのも、損害賠償について責任を持って対応できる部署がないことも原因のひとつだろう。  ちなみに、民間他社と比較するため、ヤマト運輸と佐川急便に損害賠償について問い合わせをしてみた。  結論から言えば、両社とも荷物の「遅れ」による損害賠償はなく、郵政公社と同様に「破損、紛失」に限られていた。ただ、30万円以上の高価なものについては、ヤマト運輸は朝日海上保険、佐川急便は三井住友海上火災保険と契約しており、別の運送保険をしっかりかける仕組みになっている。  今年10月には郵政公社も民営化されるが、サービス向上等による利潤追求だけでなく、安全で責任持って対応できる体制を構築して欲しいものだ。…

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