今年もすでにわが国ではインフルエンザが流行しており、製薬各社はこの治療薬を過去最大となる3000万名分揃えるとしている。その治療薬のなかで、1240万名分と半数近くを占めるのが、わが国では中外製薬が供給している、フランスの大手製薬会社「ロッシュ」が製造・販売する「タミフル」(下写真)だ。(冒頭写真=「日経」2月10日記事)
中外製薬は東証1部の大手製薬会社だが、02年、ロッシュ傘下になっている。
そのタミフル、本紙でも既報のように、致死性の高い新型インフルエンザ発生が世の関心を呼んだ05年以降、何度か、その効能への疑問(“発症”ではなく、“感染”してから48時間内でないと効かない。また、せいぜい1日治りを早くする程度とも)、また突然死や精神異常の副作用が指摘されていた。
ところが、近年はそうしたマイナス報道はまったくというほどなくなり、前述のように、未だわが国で世界の消費量の7割以上を占めているとみられる。
では近年、改良され、効果が高まったり、副作用が低減されたとでもいうのだろうか。
結論をいえば、そんなことはない。
それどころか、昨年末にはタミフル服用による死亡率が、薬を服用しないケースより6?13倍も高いとする初の疫学研究が出、厚労省に対しタミフルの使用禁止を求めた。さらに今年1月には国際研究グループが「合併症や入院を防ぐというデータは見つからない」、「副作用が過小報告されている可能性がある」とも発表している。
だが、その事実があまり知られていないのは、わが国厚労省、政府の大量使用推奨と矛盾することから、慮ってか、大手マスコミのごく一部しか報じないし、例え報じても概して小さな扱いになっているためだ。