アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

<書籍紹介>『消費税という巨大権益』(大村大次郎著。ビジネス社)

「れいわ新選組」がメインに消費税廃止を掲げて躍進しているが、その正当性についての解説本のような書籍が今年4月に発売されていた。
著書は元国税調査官の大村大次郎氏。
週刊誌の取材で6月初めに会っており、本紙での紹介は許可済み。
本書の主張も、そもそも消費税導入など必要ないというもの。
安倍政権下で、この10月に8%から10%に消費増税されるのは、財政難のなか、社会保障費のために止む無く引き上げざるを得ないというのが、与党はむろん旧民主党、「朝日新聞」だって同様の見解だ。
ところが大村氏は真赤な嘘と断じる。
消費税は1989年に3%で始まり、97年に5%、2014年に8%に引き上げられた。そして、昨年の消費税の税収は約17兆6000億円。
これに対し、ほぼ同時期に引き下げが始まり、その後も追加引き下げがなされて来たのが法人税(43・3%→23・2%)と所得税(最高税率が60%→45%)。
法人税の税収は消費税導入当時約19兆円あったが、昨年度は約12兆円。一方の所得税は約25兆円が約19兆円まで減った。その法人税と所得税の合計減収額は実に約15兆円。
つまり、消費税で得た実に85%は、大企業優遇の法人税、富裕層優遇の所得税の穴埋めに過ぎないという。
そんなこというと、一般国民は「ふざけるな!」と反対するから「社会保障費捻出のため」と安倍政権は嘘をいっているだけで、そもそも法人税、所得税共に他の先進国に比べ高過ぎるということはなかったから、単純な話、法人税、所得税の累進課税を強化=元の税率に戻せば、消費税をなしにしてもほぼ補えるというわけだ。
この考えも、「れいわ新選組」と同じだ。
ところが財務省はむろん、朝日新聞、トヨタ、経団連などが私欲のために「社会保障のために止む無し」と嘘をつき、国民を騙し、自らが潤っているという。
おまけに、消費税はその性格からして、エンゲル指数が高い我々一般国民こそが税負担が重いと感じるから、消費を控え、いつまで経っても景気が回復しないのだという。
大村氏は同書でこう結んでいる。
「若い夫婦が2人目の子供が産めない。そして、少なくなった子供を大学にさえ行かせることができない。こんな財政システム、絶対に間違っている。今、これを大改善しなければ日本は本当に滅亡する。そして、今の財政システムの失敗の象徴が消費税なのだ」。
(800円+税)

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧