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「同じく、地震予知の主な根拠の一つに『前兆説』があります。大きな地震の前には小さな地震が多発するなど何らかの前兆があるとの説です。ですが、今回の東日本大震災でもそんな前兆はまったくありませんでした。
一方、ハザードマップ(=冒頭写真。30年内M6以上の発生確率)作成の主な根拠の一つに『固有地震説』があります。一言でいえば、基本的に各地域に同じ地震が周期的に繰り返すというものです(《上》記事中の「周期説」はプレート型地震。こちらはプレート周辺の活断層の直下型地震での説)。ですが、この説も阪神淡路大震災(95年)といい、新潟中越地震(04年)、岩手・宮城内陸地震(08年)といい、起きたところはことごとくといっていいほどマップでは確率の低いところなんです。米国ではこの説も、とっくに誤りだったと結論が出ています」(《上》記事中の匿名研究者)
こうした事実から、実はわが国でもすでに80年代には、東大地震研教授も務めた金森博雄氏(その後、渡米し米国地震学会会長まで務めた)、東大理学部教授だった竹内均氏(故人)らは「予知は不可能」と公言していた。(上)記事で登場した東大理学部教授のロバート・ゲラー氏の師は金森氏。だが、こうした「正統派」の考えに反し、東大地震研を頂点とするわが国地震学者の大半はその後も、「地震予知は出来る」との立場を取り続け、今日まで何ら成果を挙げられないにも拘わらず巨額予算をもらって来た。なぜ、そうなったのか? (上写真の地震予知が外れてばかりであることを示す日本地図はゲラー氏作成。ゲラー氏著『日本人は知らない「地震予知」の正体』より)
1 そこで、もう一度、(上)記事で登場願った東大地震研所長だった森本良平教授の「産経」手記に戻ろう。そこには、こんな記述もあった。
「(地震予知研究の予算申請をしだして間もない69年ごろ)その(予算申請の)とりまとめの事務を引き受けた気象庁から大蔵省への書類提出に際し、担当大臣の中曽根運輸相より、研究計画では百万円単位の交付しか期待できないが、実施計画にすれば、千万円単位以上の高額予算配付が可能になる旨のアドバイスがあった」。
実際、そのアドバイス通り、地震予知の予算は急増して行くのだが、ここで登場する中曽根氏とはいうまでもなく中曽根康弘元首相(上写真)のことだ。