アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

3つのギミックコインによるマジック裁判ーー警察・大手マスコミ一体のマジシャンいじめか?

良く知られている手品のひとつで、500円玉などの硬貨をタバコがすり抜けていくというものがある。もちろん手品だから、現実には硬貨には穴が空いている。しかしそんなタネがわかってしまっては、まったくおもしろくない。  ところが、この間の警察によるマジシャンへの一連の捜査、それと一体となったテレビ局等大手マスコミの「犯罪報道」により、このタネが世間に一挙にバレてしまった。  このマジックに関わる裁判が、調べたところ昨年末から3件開かれていた。そして、これらを一覧すると、はるかに凶悪な犯罪は山のようにあるわけで、警察・マスコミによるお手軽な弱い者いじめの構造が見えて来るような気もする。  2006年11月、大阪市天王寺区にあるマジックバー「フレンチドロップ」の店長等4名が貨幣損傷等取締法違反容疑で警視庁に逮捕された。同法は1947年に施行された法律で、貨幣の損傷や鋳つぶしを禁じている。店長等は手品用に貨幣を加工し、販売したとして罪に問われた。裁判自体は、この1月に懲役6?5カ月、執行猶予2年の有罪判決が確定している。  しかし、この時の捜索の様子を知る関係者は、「警視庁は脅したり罵倒したり、ひどい捜索だったらしいです。しかも日本テレビの取材班がついて来て店内を隠し撮りするなど、始めから両者一体で仕掛けたのではないかとの疑問も声も上がっていました」と証言する(「フレンチドロップ」に取材申込みしたがノーコメントだった)。  一方、東京でもマジックショップのオーナーら3人が同法、それに関税法違反で訴えられていた。手品用に内側をくりぬいた500円玉等を台湾で作り、日本に送ったところを税関で摘発されたようだ。弁護人は「マジシャンへの適用は、表現の自由を侵害するもので、憲法違反」と主張。裁判の証人として、日本奇術協会の理事長が自ら出向き、問題とされるギミックコインのマジックを“実演”をしてみせるなど一風変わった裁判に。しかし、4月13日の判決では懲役8?6カ月、執行猶予3年の有罪判決となった(被告側は控訴)。  共に貨幣損傷等取締法違反が問われているが、そもそも同法は、「コインに金等が含まれていた時代に、コインの額面以上の価値がコイン自体に含まれ、これを貨幣としてではなく、鋳つぶして金として売った方が利益になると考える人たちを規制する法律でした。もはや、このような状況にないこの法律は、使命を終えたといっても過言ではなく、そのような意味のない法律を、日本円によるギミックコインによる実演を規制する手段になっているのは、決して見過ごすことができるものではありません」との意見もある。  3つ目は民事で、この5月1日にマジシャンなどが東京地裁に提訴した。被告は日本テレビとテレビ朝日。この間のギミックコイン製造者の逮捕に伴うテレビ局の報道は、単なる犯罪報道を超えて手品のタネを暴露する内容であったとして、ギミックコイン所持者のギミックコインの価値を侵害したこと、またマジシャンの名誉権を侵害したことを理由として、約200万円の損害賠償及び謝罪を求めている。原告は49名にも及ぶ。そのうちの1人、「水芸」などの和風イリュージョンで文化庁芸術祭賞を3回も受賞した藤山新太郎氏は提訴日、地裁2階の司法クラブで記者会見を開いている。  テレビ局が「視聴率稼ぎ」のために手品のタネを面白おかしく明かすのは、マジシャンの生活を苦しめるいじめではないのか。さらに、誰を傷つけるわけでもなく、むしろ見る人を喜ばせるために硬貨を「損傷」したに過ぎないマジシャンを、警察の捜査に何ら批判的なスタンスもなく「犯罪者」として大きく報じるテレビ局も、いかがなものか。今後の裁判の行方に注目したい。 (写真は2枚ともイメージ)…

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