第1回記事では、郵政利権の総本山的ファミリー企業だった「郵政互助会」(現「郵政福祉」)は、所有していた3つのホテル経営を傘下企業の「弘信観光」にやらせていたが、そのホテル賃料の支払いの一部が滞っているとして約8500万円の支払いを求めて提訴している事実を紹介した。
提訴日は2005年12月1日。
これに対し、被告「弘信観光」はほどない06年1月17日、逆に原告「郵政互助会」に対し、請求額より巨額の約1億8680万円の支払いを求めて反訴していた(写真はその「反訴状」。
一般に、反訴は先の提訴された件がよほど腹に据えかね、かつ、裁判で勝つ自信がなければ行われない。
反訴する分、弁護士費用がより重むし、かつ、一般的に反訴が認められるのはかなり希なことで、これに対し、体面を取り繕うより、無駄なこと(=提訴)は避けようと考えるのが一般的だからだ。
反訴が認められるのが希なのは、民事訴訟の原告は提訴するそれなりの理由があると、裁判所は“善意”であることを前提としており、それを覆して反訴が認められるためには、証拠資料など、かなりの裏づけを必要とされるからだ。
それにしても、「弘信観光」が請求した約1億8680万円とはいかなる根拠によるのか。
「反訴状」によれば、その大半を占める約1億2000万円は、郵政互助会は郵政利権ファミリー傘下企業である弘信観光を監督・指導すべき立場にあったのに、当時の弘信観光の一部役員の不法行為を放置し、結果、弘信観光にそれだけの損害を与えたからと言う。
そして、その不法行為とは、「暴力団から株を買い戻す」ことだったというのだから穏やかでない。