それにしても、ここまで来るとある意味、たいしたものとも思えて来る。
「国際医療福祉大学」(本部・栃木県太田市。高木邦規理事長)を中心とした、医学部新設を目指す一派の動きのことだ。
本紙既報のように、彼らはこの1年余り、一部マスコミ、政治家、医学部研究者、挙げ句は“天皇陛下執刀医師”、3・11震災までダシに使い、医学部新設を求めて来た。
だが、以前から述べているように、「医師不足は数ではなく遍在が問題」という正論の前、日本医師会もこれを支持していることもあって、彼らの運動は盛り上がらず、その目論見は頓挫すると思われた。
ところが、2月27日、自民党所属の国会議員有志(計30名。そのリストは有料部分に転載)で作る「東北地方に医学部の新設を推進する議員連盟」(会長・大島理森前副総裁)は、東北に医学部を新設するように政府に要請する方針を全会一致で決議した(冒頭写真=議連の政府への要請事項書面)。
3月中に自民党内の文部科学部会、厚生労働部会、そして党3役の了解も得、2013年度の文科省予算にそのための調査費計上を目指すという。
もっとも、03年の文科省告示45号で、医学部の新設は実質、禁じられている。また、前述のように圧力団体である日本医師会も新設には反対。東北だけでも新設を目指すとなれば、「約300名の医師を教員用に引き上げなければならず、逆に地域医療の崩壊に繋がる」との見方だ。
そのため、ともかく「東北の医学部新設は例外」「(3・11以降の)復興が着実に進んでいるという実感と確実な将来設計に基づく希望が必要」という意味不明(*実際に医学部を作り、医師が誕生するまでは10年を要する)の理由で医学部新設を実現したい考えのようだ。
(上写真左から2人目=2月27日、東北市長会を代表して石巻市長が議連に医学部新設の要望書を提出)