アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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書評『株・手形・不動産 「騙し」の手口』(相楽総一著。双葉新書)

 本紙読者には興味深い内容であろう本がこのたび、双葉新書から発売された。株式、手形、不動産に関わる犯罪と、その具体的手口が一通りにまとめられたのが本書だ。 第1章「株式犯罪のカラクリ」では、株価操縦の実例や不正・架空増資のやり方など、実際に起きた犯罪を実例に紹介。未公開株・偽造株券、インサイダー取引、粉飾決算などの仕組みも網羅している。ここでは、本紙読者にはおなじみの“金融ブローカー”大場武生氏、偽計取引の舞台となった「アイ・シー・エフ」などの名前も登場する。 第2章は「手形犯罪のカラクリ」。なかでも“不渡り詐欺”なる、一般に馴染みのない、奇怪な詐欺行為が触れられているが、一部紹介しよう。 「こうした犯罪に手を染めるグループは『当座屋』と呼ばれる。彼らはまず当座預金付きの休眠会社を二束三文で買い取ることから始める。その相場は300万円。彼らが狙うのは主に内装工事関係の会社。というのも、内装工事会社の場合、ゼネコンからの支払いが主に120日間の手形払いになっており、取引先にたいして、手形決済できないと経営に支障をきたす業種だからだ。つまり、当座屋が休眠会社を買い取ったあと、それだけ銀行が手形の発行を容認しやすい業種だといえる」。続きは本書をご覧頂きたいが、知能犯罪の極みといってよい。 本書の副題に「平成経済裏面史」とあるように、バブル崩壊後の長期不況のもと、横行した金融犯罪の具体実例を追う内容ともなっている。 騙されないためにも一読することをおススメする。なお、本紙・山岡も取材協力している。 (本体800円+税)…

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