今年4月25日、ゴム老舗「昭和ホールディングス」(5103。東証2部。千葉県柏市)、それに「ウェッジホールディングス」(2388。JQ。東京都中央区)の親会社でもあることから、疑惑のタイ投資ファンド「アジア・パートナーシップ・ファンド(APF)」(タイ・バンコク。代表・此下益司氏=冒頭右写真)のグループ会社や個人が、関西を中心とした被害者16名に大阪地裁に集団提訴されていたことは本紙でも既報の通り(冒頭左写真=訴状)。
時間が経ち過ぎたが、その提訴内容の詳細がわかったので報じる。
訴状などによれば、被告は個人では本紙既報通り、前出・此下益司氏の他、弟の此下竜矢氏、此下兄弟の最側近の伊藤幸士氏の3名。一方、法人は既報の「A.P.F.アセットマネージメント」(大阪府東大阪市)の他、「A.P.F.コンサルタント」(大阪市北区)、「三和ホームサービス」(大阪市豊中市)、「A.P.F.ホールディングス」(大阪府松原市)の4社。三和ホーム以外の3社の代表はいずれも、此下兄の方だ。
APFの投資ファンドが悪質であることは疑いない。だが、今回の集団提訴の訴状冒頭に、「本件は、平成電電事件、近未来通信事件、ワールドオーシャンファーム事件、L&G事件などと同じく、高金利・高配当及び元本返還を謳い文句に、不特定多数の者に対しファンドへの出資を募るが、その実態は、運用の意思がなく、適正な運用が行われていなかったという投資詐欺事件である」(横写真=訴状該当部分)とまで記されていたのにはさすがに驚いた。が、原告がここまで訴えているのはこういう事情からだ。
APFは95年4月に設立され、当初は、本紙でも取り上げた有名スポーツ選手のための資産運用等を行っていた(芸能人も)。それが原告のような一般人の出資も募るようになったのは05年8月ごろから。
しかし、当初年6%の配当を謳っていたところ、09年3月ごろからは12?87%もの短期型ファンドが登場、そして10年5月以降、全く分担金を払わず、また例外を除き償還にも応じなくなったという。