冒頭のように(左写真=「日経」4月5日夕刊)、高校の教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」に関し、日本軍の「強制」の記述が削除されたという。
だが、法政大学大学院で沖縄の近・現代史研究をやったこともある(「沖縄文化研究所」があり、本土では最も研究が進んでいる)本紙・山岡にすれば、信じがたい話だ。
そもそも、山岡がこの研究テーマを選んだのは、国民を守ることが使命と思っていた自国軍隊が、同じ沖縄の日本人を殺すなどあり得ないと思っていたところ、日本兵による「沖縄住民虐殺」というおどろおどろしいタイトルのついた、沖縄戦についての書籍と出会い、衝撃を受けたことが契機になっている。
まず、沖縄は1872年の琉球処分まで独立国で、本土では「朝鮮人」と並び、「琉球人お断り」の張り紙が店にあることもあり、差別意識があったことが根底にあると思う。それに加え、極限の状況になれば、誰もが生き延びたい本能に駆られ、力の強い軍人が、先に逃げ込んでいた塹壕や洞窟から民間人を追い出し、結果、集団自決に向かわせても何ら不思議ではない。
実際、そうした例が数多くあったことは、100名の証言を綴った『日本軍を告発する』(右写真=表紙。沖縄県労働組合協議会。1972年1月)でも明らかだろう。