グレー・ゾーンが撤廃され(つまり金利が基本的に年利20%まで下がった)、また過払い分を取り戻すことが出来るようになり、サラ金業者にとれば“冬の時代”、借り手にとってはひじょうに明るい状況と思われている読者は多いかも知れない。
だが、実は借り手の厳しい状況はそれほど変わっていないとの見方もある。
むしろ借り手が選別され、また貸出額も以前より少なくなり、結果、もっとも困っている者が闇金に手を出し、さらにひどい状況になっている者もいる。そして、これ幸いと、武富士などのサラ金大手業者は必死で再利上げを狙っている。
しかも小泉構造改革が招いた格差社会の中で、サラ金や闇金に手を出さざるを得ない者は逆に増えているのだ。
こうしたなか、近著『トヨタの正体』(金曜日)など、いつも社会的弱者の視点から適確に問題の本質を摘出する数少ない気鋭のジャーナリストである筆者は、弁護士より身近な行政の取り組みに期待をかけ、モデルケースを訪ねて奄美大島のカリスマ公務員のところに飛び、その「奄美方式」を紹介している。
また、サラ金の再利上げへの警鐘として、未だわが国よりはるかに高金利で過剰貸し出しを行っている韓国にも飛び、その悲惨な現場をレポートしている。