最近、2011年の地上デジタル放送完全移行のテレビCMが大々的に流れ出し、また、第2東京タワー建設もいよいよ具体化し、地デジ移行は今更ながらだが、既定事実になっている。
だが、本当に地デジ移行は必要不可欠なものかといえば、まったくそんなことはない。
本書は2年以上前に出たものだが、あえて今回、紹介するのは、そのタイトル通り、地デジ移行は「電波利権」争いの結果以外の何者でもなく、その本質を本書以上に突いている書籍はその後も出ていないように思えるからだ。
放送のデジタル化は確かに世界の流れではある。だが、ヨーロッパ諸国は地上デジタルではなく、衛生放送を使っている。こちらは地デジのように一部地域をカバーできないという問題は起きず、はるかに安上がりなのだ。
それなのに、あえて地デジを選択したのは、これまた米国に倣え右した結果であり、その米国でも未だ普及率が伸びず失敗が明らかであるにも拘わらずだ(放送開始7年目の2005年で10%以下)と著者の元NHK職員は指摘する。(上写真=2006年7月時点のキャンペーン映像。当時の竹中平蔵総務大臣と民放キー各局アナウンサー)