アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

特別寄稿「騙されるな! 債務整理ビジネスの悪質な手口」(連載第6回)

ジャーナリスト・北健一 1965年生/専門は金融や司法/最近の記事「ディックやアイフルが展開する『おまとめローン』への違法疑惑」(『ZAITEN』07年2月号)/同書籍『アメリカの日本改造計画』(イースト・プレス。共著。北は「下流社会を狙う『グレーゾーン金利』との戦い」を執筆)。  中抜き詐欺や弁護士法違反疑惑に揺れる豊島民商(長谷川清会長)は2004年春、創立5周年を迎えた。その際に発行された記念誌の55ページには、これまでひまわり道場が取り上げられたテレビ番組が誇らしげに記されている。 2001年4月30日のテレビ朝日系「スーパーJチャンネル・ヤミ金融と闘う男達」に始まり、日本テレビ、NHK、フジテレビ、TBSの報道番組が列挙してあるのだが、ひまわり道場を取り上げた最新の番組は、記念誌発行後の2006年6月13日にテレビ東京系でオンエアされた「日経スペシャル・ガイアの夜明け どん底から這い上がれ」だ(写真)。 長谷川会長、菅原悦子事務局長ら豊島民商執行部が事態収拾のために出した内部文書「総括と見解」では、この番組を、あたかも疑惑もみ消しのお墨付きのように活用している。 すなわち、「なお、一方的な訴えで、『ひまわり道場』が登場するテレビ番組の放映中止を『宮田・○○守る会』により求められていたテレビ局は、双方から丹念に事情聴取や独自の調査を行ったうえで6月13日放映に踏み切りました。この番組は、中小業者の再生を応援するもので、『中小業者があきらめなければ再生できるし、救いの手を差し伸べるところがあるよ』と教えてくれる番組でした」というのだ。虎の威ならぬテレビの威を借りて自己正当化を図っているのである。  もちろん、外部から中止を求められても放映に踏み切ったこと自体はひとつの見識であり、報道の自由として尊重されるべきことだろう。問題は番組の中味だ。 「ガイアの夜明け」では、中小企業の事業再生が専門のセントラル総合研究所(八木宏之社長)が手がける青森市のAホテルの再生と、ひまわり道場が支援する東京都内の鶏肉輸入販売業者S社の再生が対比されて描かれている。 セントラル総研は、Aホテルの決算書を分析し事業内容も詳しく調査する。いわゆるデューデリジェンスだ。「年5000万円の営業利益があることから、再生可能と判断しました」(セントラル総研役員)。 そのうえで、サービサーに債権譲渡すれば、銀行が不良債権を無税償却できる制度を活用して債務と担保をバランスシートから外し、サービサーに売却したホテルを借りて事業を担う新会社を立ち上げ、軌道に乗ったらホテルを買い戻すというスキームをセントラル総研は提案する。 一方、ひまわり道場が支援したS社は、創業8年で従業員はHさんという中国人男性だけ。年商20億円というが、この半年はHさんに給与すら払っていない。銀行、商工ローン、サラ金に計1億円の借金がある上、05年3月にヤミ金に手を出し、一時はヤミ金5社に1200万円借りていた。 S社の女性社長は、ひまわり道場に駆け込む。すると櫻井俊一氏が電話でヤミ金と交渉し、翌日、社長が何とかかき集めた金を豊島民商事務所に持参。事務所内でヤミ金に元本を返済し、借金のカタに取られていた通帳や権利証を取り戻す。女性社長はマンションを売却して商工ローンなどへの返済に充て、銀行に融資を申し込む。交渉の末、5000万円の融資を獲得し女性社長は笑顔を浮かべる――という流れだ。 ひまわり道場は、決算書も事業内容も調査していない。したがって、S社の再生可能性は不明という他ない。再生が不明なまま、取引先から借金をしてまでヤミ金に払うのがまずおかしい。ヤミ金の借金を取引先に転嫁する結果になりかねないからだ。 また、「ガイアの夜明け」を視たメガバンク行員は、「ああいう会社に5000万貸すなんて、銀行の審査としてはいかがなものか」と言う。中古マンションを売却してもすぐに1億円の債務が消えるとは考えにくく、S社は債務超過ではないか。従業員に給与も払えなかったのだから、当然赤字決算だろう。債務超過で赤字なのに借りられたとすれば、S社が決算をごまかし銀行が見破れなかった可能性がある」というのだ。 中国人男性が半年も無給で働いていたことも、普通あり得ない。賃金不払いは言うまでもなく違法だし、給与も出さない会社に半年も通う従業員などそうそういるはずもない。 半年に及ぶ給与の未払い。債務超過とみられるのに融資が出る不思議。そして民商事務所内でのヤミ金への支払い――。「取材、制作を担ったのは良心的な制作会社です。ただ事業再生実務には余り詳しくなかったようです」(事情通)。 確かに、善意で作られた番組だし、丹念な取材もされている。としても、だ。従業員に半年も給与を払わない会社を美談仕立てにするなんて、「日経スペシャル」の看板が泣くではないか。また、こうした番組を錦の御旗に自己正当化を図る豊島民商幹部の、中小企業再生についての「見識」が透けて見えるとは言えまいか。(つづく) (写真は民商のポスター)…

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