「六本木スクエアビル」ーー喫茶店「アマンド」などがある六本木交差点にほど近い地下2階、地上10階のこのビルは1970年代後半から90年代前半まで、ほとんどの入居店舗がディスコで、ディスコブームのメッカとして有名な存在だった。
その後、あの「ダイナシティ」が取得するなどし、話題になったことも。近年はキャバクラビルに様変わりしていたが、本紙で何度も報じて来た東証1部、不動産ファンドや不動産融資の「アトリウム」(本社・東京都千代田区)が競売により取得したのは今年1月30日のことだった。
同時に取得した、六本木通りに面したもう1つのスクエアビル、両ビルの間に挟まれていた薬局があったビル共々取り壊され、現在、8月一杯を目処に整地が行われている(冒頭写真2点。その下1点写真は取り壊し前の同ビル)。
アトリウムはそもそも、昨年6月、この3つのビルと土地を取得していた「AT CS10」という有限会社に100億円を貸し付けていた。
「ATCS」といえば、本紙既報の「ATCS12」、「ATCS11」も存在することからも察せられるように、アトリウムが貸し付けするその不動産を対象にした不動産ファンド用目的会社。そしてこの六本木3丁目不動産の貸し付け相手は実質、北海道に本社を置く「R」という不動産会社だった。
アトリウムは第1抵当権者だったのだから、それなら代物弁済で取得すればいいと思うのだが、わざわざ競売申請して自己落札したのに理由があった。