報告がずいぶん遅くなったが、ジャスダック上場の「サハダイヤモンド」(東京都墨田区)が7月23日、所有していた10・7%の東証1部「田崎真珠」株すべてを売却損処理した件を検証してみた。
サハのIR情報 によれば、サハは今年6月3日、資金繰りのため、所有する田崎真珠株400万株(=約10・7%)を「沖縄振興」なる会社に担保に差し入れ、8億円借りたという。返済期限は今年12月3日だった。
ところが、それから約1カ月余りの間に田崎真珠の株価は半値にまで急落(冒頭写真=田崎真珠のチャート図)。そのため本来は追加担保を入れなければならないが、沖縄振興側と話し合いの結果、借り入れた8億円を返済しない代わりに、沖縄振興側は田崎真珠株すべてをもらうことで話しがまとまったという。
だが、この取引、実に不可解なのだ。
というより、本紙は沖縄振興が担保に取ったというのは形式的なもので、実は即、市場で叩き売られたと見る。それも10・7%という多さだったからこそ株価は急落した。それなのに、その責任をサハ側が取らされたのだとすれば、その事実をキチンと公表し、しかるべき責任を沖縄振興側に取ってもらわないと株主に対する背任行為になるのではないか。
本紙既報のように、サハは処分していないと主張していたにも拘わらず、サハが担保に入れたというまさにその6月3日、「神商」なる会社(上写真建物住所が謄本所在地)がほぼ同じ10・8%の田崎真珠株を所有したとする「大量保有報告書」を出した。どう考えても、沖縄振興から担保株が流出したとしか思えない。
だが、その疑問は何ら解かれないまま、今回の売却損処理で片づけられた。