ライツ・オファリング(ライツ・イシュー、新株予約権無償割当ともいう)の実施が、今年に入って相次いでいる。
株主割当増資の一種だが、既存株主全員にその所有割合に応じて等しく無償で割り当てるのが特色。したがって、特定の者を対象にした第3者割当で、一挙に既存株主の持ち株割合が低下するようなことはない。予約権を行使しなければ当然、所有割合は減るものの、その場合でも、新株予約権自体が上場されるので新株予約権を売却できるから不満は少ない。
だが、これで割を食うとして面白くないのは、これまで資金調達の厳しい“危ない上場企業”の第3割割当を裏で引き受けたり、あるいは、引き受け手に資金を貸す見返りに、高利を得たり、経営介入したり、あるいは株価操作をやるなどして暴利を貪っていた悪徳金融ブローカーだ。
そのライツ・オファリング、わが国実施第1号は10年5月の「タカラレーベン」(8897。東証1部)。
しかし、手続きの複雑さなどもあり後が続かず、第2号の「エー・ディー・ワークス」(3250。JQ。12年10月)まで2年半近くもの期間があった。
ところが今年に入るとすでに9社が実施を発表。
この間、手続きの簡略化、発表から実施期間の短縮化などの結果と思われる。そして、その影には、悪質な第3者割当増資に神経を尖らせている金融庁のお墨付きもあってのことのようだ。