残留農薬などで汚染された「事故米」を食品用などに不正転売していた「三笠フーズ」(大阪市北区)は、食品衛生法や不正競争防止法両違反だけでなく、詐欺罪でも立件される見通しだ。
当然と言えば当然だが、忘れてならないのは、農水省はこの犯罪を“幇助”していた事実だ。
この事故米は中国などから輸入された外国産だが、なぜ、事故米と判明した時点で相手国に送り返さなかったのか。
日本は95年以降、世界貿易機関(WTO)協定に基づき、自動車などを海外で売る替わりに、相手国の余った米の輸入を義務づけられた。“ミニマムアクセス(MA)米”というもので、そのノルマは年間約77万ドル。事故米のほとんどはこのMA米だ。
そしてこのMA米は、主食用としての国産米に悪影響が出ないように、購入して数年は倉庫で寝かされ、せんべいなどの加工米など別用途に販売される。そのため販売価格は安く、差損が出て、ここ数年でも100~300億円の赤字だという。
その点、ノルマの約77万ドルにカウントでき、それでいて購入価格は10分の1以下で済む事故米輸入は、この差損を少しでも減らせるということで、わが国政府・農水省は事故米をあえて送り返して来なかった。
(冒頭左写真=「日経」9月20日、右写真=同9月19日夕刊)