10月4日、東京都で発生したこの妊婦死亡事件はさすがに衝撃的だった(冒頭写真=「毎日」10月23日)。多くの国民は、そこまで公立病院の医師が不足していたのかと、認識を強くしたはずだ。
こうなると、医師不足の解消→財源確保→増税=国民合意の契機にもなり得るようにも思えるが、本書の本田宏「済生会栗橋病院」(埼玉県さいたま市)の副院長兼外科部長は「国、厚労省のお役人に騙されるな!」と叫ぶ。
本田の主張は極めて単純明快だ。
産婦人科に限らず、今日、これだけ医者が不足しているのは、借金が増え続けていることに危機感を抱いた国が、闇雲に医療費削減を目指し、結果、医師はそもそも不足していたにも関わらず、逆につい最近まで削減していたからだという。