本紙では過去、多くの“危ない上場企業”の資金調達などに絡み暗躍する仕手筋などの動向について積極的に報じて来た。
彼らは一様に、「自分たちは企業を助けてやっている」と存在価値を説くが、その多くは、資金調達がはなはだ困難な企業側の弱味に付け込み、IRされる条件とは別に、手形や小切手まで担保に取ったり、新規事業向けを名目にしたキックバックを要求、また、MSCBを悪用して経営権を握り会社資産を収奪、それどころか、空増資の結果、実際に企業側が手に入れた資金は公表資金額の1~2割なんてことも珍しくない。
そして、彼らがそれほどゴネることができる背後には、間接的ながらも暴力性、つまり暴力団関係者が控えており、彼らも肥え太らせていることを忘れてはならない。
要するに、企業を食い物にし、既存株主にも重大な損害を与えるケースが少なくないのだ。
証券取引等監視委員会の人員不足、警視庁を始めとする当局の捜査ノウハウ不足もあり、事件化したのはごくごくわずか。だが、その水面下では犯罪紛いの事例が多々ある。
こうしたなか、最近弾けた新銀行東京の元行員による詐欺事件、それに小室哲哉の著作権を巡る詐欺事件の2つで、やはり“危ない上場企業”や仕手筋との接点が浮上。その人脈がもっと幅広い犯罪の温床になっていることを窺わせる。
(冒頭写真=小室分は「毎日」11月15日、新東京は同10月29日夕刊)