アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

破綻した「近未来通信」の犯罪(1)ーー マスコミの責任。「日経」と「エコノミスト」のケース

 高音質のIP電話事業を謳い、全国の投資家から約300億円とも言われる資金を集めながら早々に破綻した「近未来通信」(東京都中央区。石井優社長=写真)ーーその破綻は、事業がうまくいかなかった結果ではなく、そもそもまともに事業をしていなかったわけで、流行のIP事業を謳い文句にした新手の詐欺商法とも言えそうだ。 したがって、冷静に同社の謳っていた事業内容を検討すれば、ひじょうに怪しいと素人でもわかったはずだ。経済のプロなら当然だろう。 この事業が当初からいかに怪しかったかは次号以降で検討するとして、その事実からして、罪に問われても仕方ないのが、同社を宣伝し、一般投資家に対してお墨付きを与えてしまったかっこうの大手マスコミだろう。  思えば、2001年1月に破綻した「MTCI」も、IP電話同様、当時、急速に普及し出したインターネットのプロバイダー事業を謳い文句としていた点で極めて似ていた。 そして、こちらで同社の社会的信用に大いに貢献した大手マスコミの筆頭は「日本経済新聞」だった(横写真)。 MTCIは99年10月15日、同紙に一面広告を打ち、未上場企業としてはおそらく始めてだろう、その新聞紙上で公に新株発行による資金集め(約100億円)を募った。 そして、経済専門の日経新聞がそのための広告を打たせるぐらいだからそれなりの信用調査はしているのだろうということで、多くの資金が集まった。 だが、当時から同社の実態は怪しく、本紙・山岡は他のマスコミに先駆け、いち早く警告記事を書いたが、その約1年後、残念ながら杞憂通りの結果となった。 そして今回の近未来通信で宣伝に一役買った1社は、またその日経新聞だった。  単なる広告記事でも最低限の信用調査をすべきだが(それでも怪しいとわかるはず)、ましてこの広告記事(横写真。05年10月7日)のように、「IP電話中継局オーナー事業説明会」の募集広告まで含んでいたのだからなおさら慎重に調査すべきだった。 「この商法は、中継局のオーナーがどんどん増えていくから営業しなくても収入が上がると謳っており、基本構造はマルチ商法に似ている。そして、マルチ商法の広告はイメージのみで、具体的商品紹介などは禁止されていることを考えれば、日経は“何か怪しいが、広告料を取れればいいや”と確信犯的に引き受けたと言われても仕方ないでしょう」(取材した大手紙記者) MTCIの時も、前述のように、未公開企業が始めて大規模な株式の公募を行ったことを考えれば、慎重にも慎重な調査が必要だった。同紙の罪は確かに重い。  そしてもう1社は、毎日新聞社発行の「エコノミスト」(横写真。05年7月5日号。原本はカラー)だった。 こちらは広告記事ではなく、2ページの純粋な記事。だが、その内容は同社事業に疑問を呈するどころか、ヨイショ記事といってもいいほど好意的なものだった。 写真のように、この記事は掲載されたエコノミストの表紙と同社広告記事との計4頁構成で「抜刷」され、それが投資家向けに何千部と配られていたのだ。 「本社や説明会場には、この『エコノミスト』や『日経』記事が拡大コピーされ、いくつも貼ってありました。私は企業分析でも定評のある経済専門誌のエコノミストが通常記事で絶賛しているのですから、これは本物かなと思ってしまったんです」(投資家の1人) 『エコノミスト』は赤字で、本体の毎日新聞社の経営状態も良くないと言われるが、だからと何もよりによって近未来通信を宣伝してやらなくても良かったのではないか。 他にもヨイショしたマスコミは多いが、事件化するや、豹変して告発記事を書く様は、最初から悪を前提としている暴力団犯罪より質が悪いとも言える。いつものことながら、自分たちの社会的責任をもう少し自覚してもらいたいものだ。…

この続きを読むには有料購読の登録が必要です。

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧