安倍晋三首相の地元・山口県下関市は10月13日、総事業費約155億円の社会教育複合施設について、三菱商事グループ(三菱商事、佐藤総合計画、ジェイコム、松井建設、図書館流通センター)が落札したと発表した。
入札には地元の大証2部上場企業「原弘産」の子会社を代表にしたグループも参加し最後まで争った(当初3グループ参加)が、総合評価で三菱商事グループ66・3点、原弘産グループ63・8点ということで破れた。
だが、地元関係者の間では、今回は原弘産グループの落札で決定と見ていた者が多く、また、原弘産周辺からは入札に問題ありと訴訟提起するのでは、との見方さえ出ている。
入札価格などの詳細は今月下旬に公表されるとのことだが、その理由の一つは、原弘産のグループの方が工事費が三菱商事グループより約10億円は安かったとの指摘もある。
また、「原弘産グループは、場所が海岸沿いなので高潮対策としてホールを3階に持って来るなど、設計などの評価も高かった」との声もある。
ところが、“天の声”があり、ひっくり返ったとの見方が出ている。
というのも、この公共工事は「公設民営方式」というもので、価格だけが入札条件でなく、市長など実力者がその気になれば、意中の業者に恣意的に落札させることも可能だからだ。
三菱商事といえば、安倍首相の兄・寛信氏が務めており、しかも現在、この中国地方の支社長なのだ。また、グループの佐藤総合設計は過去にも市の大型工事を何度も受注して来ている。
何やら基本構造は、本紙・既報の目黒区の土地の三菱商事への払い下げ疑惑と似ているのだ。
しかも、今回の受注が不可解というもっと決定的な理由があった。
(写真 「長周新聞」06年7月14日。旧施設の一つ、下関文化会館)