アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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≪連載(88回目)≫アッシュブレインの資産運用ストラテジー 今週の相場展望(6月25日~6月29日)&MY注目銘柄

■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。

≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
 先週末の日経平均株価は22,517円で引け、先々週末比-335円に沈んだ。これは週明け早々の18日(月)に、中国からの報復措置への対抗策で、2000億ドル(22兆円)の輸入品に10%の追加関税を課し、さらに中国側が再度報復してくるようならば、2000億ドル分の輸入品に関税を課す、とトランプ大統領が脅しをかけたことが原因だ。これまでの輸入関税は500億ドルだったので、いきなり4倍規模の話を持ち出されれば、先週の火曜日、日経平均株価が安値引けとなる-402円と沈んだのも致し方ないところだ。
これで米国が中国に課すとした輸入関税は、合計で4500億ドル。現在の米国の対中輸入額は5050億ドルで、輸出は1300億ドルでしかない。米国は貿易赤字国であるから当たり前だが、中国への輸出は1300億ドルしかないので、中国側としてもこれ以上の報復関税をしようがないのが現状だ。それにもかかわらず米国が「さらなる報復」を警戒するのは、中国が保有している「米国債(1.19兆ドル=123兆円)」の売却を恐れているからだろう。これをやられると、米国債券の利回りが大幅上昇することは必至。日本も中国と同程度の米国債を保有しているはずで、この金融商品が大幅な評価損となればGPIF(年金機構)が運用する年金は大きなダメージを負い、我々日本国民に還ってくることになる。
また現在、7月6日に発動期限を迎える、中国に対する輸入関税500億ドル分は、もはや止めようがない、というのが現状のようだ。情報筋の報道によると、5月下旬から米中間は、事務方の高官級の協議が行われていない、というからどうしようもない。となれば焦点は2回目の輸入関税2000億ドル。これは品目公表のあと、60日間の米国内での意見公募期間を経て発動されるので、9月6日以降が次のXデーとなるだろうか。
しかし、この不毛な米国と中国の貿易摩擦が止まないのには理由がある。それは米国が、中国が目指す「中国製造2025」をターゲットとしているから。この計画によると中国は、ハイテク半導体などの基幹部品生産の国内比率を現在の20%→ 2025年に70%に高める努力をするのだという。これを米国は、知的技術財産が不当に奪われた結果であり盗人猛々しい、として力づくで止めようとしている、というのが真相のようだ。それならば証拠を出して、うまく国際社会を巻き込んで、中国を問いただせばよいのではないか、と思うが、トランプ流ではそんな悠長なやり方はしないといったところか。
 とにかく、米国が本気で中国叩きに向かっている可能性が高く、米国の中間選挙も11月、と日があることもあり、しばらく株式投資どころではないムードが濃厚になってきた。
また、先週の木曜には40年ぶりとなる9日続落か、と騒がれたNYダウ指数。かろうじて金曜は反発したが、ここまで驚異的な力強さで、相場の雰囲気を一手に担ってきたナスダック指数が逆に弱さをみせてきた。先週木曜には、寄付きから反発することなく約-1%の下落となり、金曜も再現ビデオのような展開となり反落。7800ポイントが天井圏だと示唆するような動きとなった。さすがにこれまで上がりすぎた同市場であったからこそ、強く警戒したい。
経済指標に関しても、先週木曜に発表された米国フィラデルフィア連銀景況観指数は19.9と、市場予想の28.9を大幅に下回るとともに、前月の34.4から大幅低下した。これは2016年11月以来の低水準である。内訳をみると新規受注と先行き見通しが悪化している。
さて今週のストラテジーへと移りたい。先週、話題となったが、上海総合指数と日経平均株価の連動性がかなり意識されている。これは、中国・アジア向け輸出売上の大きい日本が、貿易戦争に巻き込まれることを懸念している動きだと考えられる。(下写真=上海総合指数のチャート)
前稿で、実に1年9ヶ月ぶりの安値水準となった、と記したが、その後も反発する動きはない。それもそのはず19日(火)の「5月半導体製造装置販売」は以下の通り※ここに半導体販売の図を入れる、元気はなく、21日(木)「5月工作機械受注統計・確報値」も中国向けで-9.5%となり3ヵ月連続のマイナスと沈んだ。よって上海総合指数だけは、日々ウォッチすることをオススメしたい。「世界の株価」というサイトで見ることができる。
また、先週木曜日には、海外勢の売買動向が発表になり、+5324億円の大幅買い越しだった。ただ、これは単純に喜べる話ではない。内訳をみると、日経平均先物だけで+4241億円の買い越しとなっているのだ。この動きは、3月配当金の振込時期が迫ってきているため、ファンド勢がリバランスで日経平均先物を買っている動き、だという報道があったがおそらくその通りなのだろう。そしてこの動きが、テクニカルの項に後述するが、直近のNT倍率のゆがみにつながっている。このゆがみは近いうちに正され、おそらくかなりの高確率で日経平均株価指数は反落するだろう。しかも、この大幅買い越し額のわりに日経平均株価は+157円と物足りない結果だったのは、ものすごく気になるところ。
2017年末の日経平均株価は22,764円。現在6月22日時点で22,517円であることからも、読者諸兄も、まだ資産半減などという壊滅的な被害とはなっていないはずだ。現在、信用取引を駆使しているために投資余力が低くなっている向きに関しては、大きなショックが起こる可能性を念頭に置いて、VIX指数(1552)や、日経ダブルインバース(1357)の保有をオススメしたい。どうしても売却したくない株式のヘッジ売りのためにも前述の金融商品を持つことは、必須の流れとなってきたように思えるのだ。

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