アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「オリンパス」事件の旧ジェイ・ブリッジ不正人脈が、業務上横領で刑事告発される(下)

<チャン氏の海外ファンド使ったJBにおける不良債権“飛ばし”の実例>

 この連載(上)で、「オリンパス」の巨額損失隠しに関わっていると見られる旧「ジェイ・ブリッジ」(JB)不正人脈に名を連ねる山本健一郎氏(JB元副社長)、増山慶太氏(JB元関連事業部長)が、東京地検特捜部に業務上横領容疑で告発された事実、その概要について見た。
(下)では、そのJB2人の横領容疑に関連しての不良債権“飛ばし”に、「オリンパス」事件でも「ダイナミック ドラゴンズ ツー SPC」の代理人を務めているチャン・ミン・フォン氏(冒頭左写真)がいかに関わっていたのか解説する(以下に、その“飛ばし”の証拠内部資料を転載)。
JBは、オリンパス不正人脈の中心と思われる桝澤徹社長(冒頭右写真)時代、企業再生の請負人として評価され、JBが再生を目指す上場企業の一部株式を所有すると、その企業の株価が急騰するという“マジック”が成り立った。
なぜ、“マジック”と表現するかというと、その後、JB側に対して起こされた複数の投資家との訴訟を検証すると、JBは本気で企業再生を目指したのではなく、企業再生名目で集めたファンド資金を喰うことが目的だったと言わざるを得ないからだ。
その方法はいろいろある。
 基本的にファンドにはJBも一部出資した上で、そのファンド資金を複数のダミー会社を介在させひじょうに割高な手数料名目などで抜く。さらには、外からはファンドの実態がわかりにくいことを幸いに企業再生がうまくいかなかったとして、JB側がその資金を裏で騙し取るなど。
今回の告発案件では、企業再生を目指したのは当時、大証2部に上場していた「機動建設工業」。そして、同株式を購入した匿名組合契約に基づくファンドは「ジャパンアクティブファンド匿名組合」(以下、JAファンド略)。このJAファンドへの出資等を目的とする会社が(有)「マーケットデザイン」という。
時系列で見ていこう。
05年7月、JBの桝沢・山本両氏の指示を受けた増山氏が、当時JB子会社だったJCM傘下にマーケットデザインなる会社を設立。JBはわずか22円で引き受けた機動建設の新株予約権1230万株をこのマーケットデザインに257円で転売し、いきなり29億円近い利益を計上する。
そして、この益出しした資金を回して、JB自らも、今回の告発人・ファイアーバードも出資(13億9500万円)したJAファンドに31億5000万円を出資し、さらなる株価上昇によるキャピタルゲインを目論む(JAファンドの出資総額は約63億5000万円=上写真資料参照のこと)。
実際、機動建設株においても“マジック”が成り立ち、同株価はJBの新株予約権引き受け当時の190円から最大790円まで急騰する。

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